世銀グループ、対フィリピン復旧・復興支援パッケージを約10億ドルに増額
ワシントンDC、2013年11月22日―世界銀行グループのジム・ヨン・キム総裁は本日、ベニグノ・S・アキノ・フィリピン大統領と電話で会談し、台風30号「ハイエン」(フィリピン名:ヨランダ)による甚大な被害に対し、フィリピン政府と国民にお見舞いの言葉を述べると共に、今週初めに発表した5億ドルの緊急支援に加え4億8000万ドルを、被災地コミュニティの復興のための追加支援として提供することを伝えた。これで、世界銀行の支援パッケージは総額で約10億ドル近くに上る。
「かつてない規模の壊滅的被害に直面しても、力強く立ち向かうフィリピン国民の強靭な精神力、そしてアキノ大統領の強固な決意に、我々は大いに勇気づけられます」とキム総裁は述べた。「やらなければならない事は限りなく、救済・復旧・復興作業には長い時間を要するでしょう。世銀グループは、フィリピン国民の生活が正常に戻るまで、どれほど時間がかかろうとも同国政府の努力を支援していく所存です」
電話会談の際、キム総裁は、支援パッケージを総額10億ドル近くまで増額し、数週間以内に実施できる旨をアキノ大統領に伝えた。キム総裁は、今回の状況の緊急性に鑑み、5億ドルの緊急支援についても一刻も早く実施できるよう担当職員が24時間体制で手続きを進めていると述べた。
4億8000万ドルの追加支援は緊急対応として、「コミュニティ主導型国家開発プロジェクト(NCDDP)」に充てられ、同プロジェクトの下、台風の被災コミュニティに、水や農村道路、学校、病院など、コミュニティ・レベルの暮らしに不可欠なインフラの再建の資金が例外的に事後承認の形で提供される。これにより人々は、自分たちのニーズを透明性をもって把握でき、コミュニティ主導の復興作業が推進される。なお、同プロジェクトは、これまで成果を上げてきたKALAHI-CIDSSプログラムを拡大したものである(KALAHIは「貧困と闘うための団結(Kapit-Bisig Laban sa Kahirapan)」の頭文字。CIDSSは、「社会サービスの統合的提供(Comprehensive Integrated Delivery of Social Services)」の頭文字)。
キム総裁はまた、世銀の災害復旧専門家を直ちにフィリピンに派遣し、現在、被害状況の調査や、緊急対応を要する優先分野の特定について同国政府を支援している旨をアキノ大統領に伝えた。世銀グループはこれまでに、トルコ、インド、インドネシアのアチェ州、スリランカ、パキスタン、バングラデシュ、ハイチにおいて災害後の復興に当たっており、フィリピンの復旧・復興にもこうした経験が役立つだろう。
世銀グループは、被災地コミュニティの再建を支援するため、現行の同国向け投資プロジェクトの再編についても検討を進めている。さらに、中・長期的な復興支援については、フィリピン政府による「ヨランダ復旧・復興計画」の策定を待ち、新規投資や成果ベースのプロジェクトを通じて更なる援助を行う予定である。