プレスリリース

内需拡大が東アジア・太平洋地域の一層の成長を促進

2013年4月16日




一部の大国は景気過熱の可能性に注意を

シンガポール、2013年4月15日 – 東アジア・太平洋地域の途上国は、内需拡大をバネに、引き続き世界の成長の原動力となっており、2012年の成長率は他のどの地域よりも高い7.5%を記録した、と本日発表された「東アジア・太平洋地域経済報告書」は述べている。同報告書はさらに、世界経済が回復する中、同地域の経済成長率は2013年に7.8%とわずかに増えた後、2014年には7.6%になると予測している。

「東アジア・太平洋地域は2012年、世界の経済成長の約40%に寄与した。投資家の信認が高まり金融市場も堅調に推移する中、世界の経済成長は引き続き同地域に依存している」と、世界銀行のトロッツェンバーグ東アジア・太平洋地域総局副総裁は述べている。「今こそ各国は、弱者にも果実が行き渡る成長を加速させる、質の高い投資の拡大を通じて、残された貧困層の支援に集中するよう求められている」

消費と投資の拡大を図る財政・金融政策により、2012年は域内全体で成長が持続し、中所得国のパフォーマンスが特に好調だった。中国を除く域内途上国は2012年6.2%の成長を記録した(2011年は4.5%)。

中国では、経済のリバランシング努力により、2012年の成長率は7.8%に減速したが、都市世帯の実質可処分所得は9%以上増えて個人消費を支えた。個人消費はGDP成長率全体の4.4%ポイントに寄与した。中国の成長率は2013年に8.3%、2014年には8.0%になると予測される。

ユーロ圏と米国の不確実さに起因するリスクは、昨年半ば以降小さくなっている。世界経済の成長に対する世銀のベースライン予測では、2013年に2.4%と小幅な伸びを示した後、2014年は3.0%へと徐々に拡大する見込みだ。景気は依然不確実であるが、高所得国の実体経済は好転の兆しを見せており、東アジア・太平洋地域に対する外需も今年は安定するだろう。工業生産の最新データと生産者の期待からも、堅調な成長が続くことは確実だ。

日本円など高所得国の通貨の動きは、短期的に域内の貿易・投資の流れに影響を与える可能性が高い。日本の製造業に部品を納入する国や日本から多額の投資を受けている国などは、利益を受けるかもしれない。他方、第三市場で日本と直接競合する国々は、短期的にいくらか向かい風を受ける可能性がある。ただし、同報告書は、日本が持続的成長を回復すれば、地域全体として恩恵を被ることになると指摘している。

世界経済が回復する中、浮上し始めている問題は、一部の大国における景気過熱のリスクである。最新のデータは、世界的な需要が回復を続ければ、一部の大国では、GDPギャップが解消され、現在の生産能力を超過する需要が生まれる可能性があることを示唆している。

「東アジアの途上国の大半は、外的ショックを吸収する態勢を整えているが、内需喚起のための施策を続けることは、インフレ圧力を高めかねず、今や逆効果かもしれない」と、世界銀行のホフマン東アジア・太平洋地域総局チーフ・エコノミストは述べている。「米国、EU、日本で量的金融緩和が長引くことにより東アジア・太平洋地域への資本流入が急速に回復し、信用と資産価格上昇リスクを増幅する可能性がある」

東アジア・太平洋地域では、世界経済危機に対し経済運営は全般として有効に対応できた。これにより、同地域の経済はショックに強い持続可能なものとなっている。

政策当局にとっての現在の課題は、こうした強みを基に、以下の短期的・長期的課題に賢明な政策で対応することである。

  • 政策当局は、世界経済のショックに対する警戒を続ける必要があるが、他方、世界経済の回復に伴い、刺激をとりやめる準備もしておかなければならない。インフレ圧力の兆しが見える国については、政策のバッファーを再度構築する好機だろう。
  • いくつかの国は、今後も適切なマクロ政策を組み合わせ、為替レートと健全なマクロ政策に十分な柔軟性をもたせることにより、資本の大幅な流入を管理する必要がある。
  • 大半の国々は、インフラや人的資本への投資により、衡平で高い成長の継続に道を開けば、生産能力拡大が可能だろう。

 

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プレスリリース番号:
2013/333/EAP

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