借入国の需要は依然、2008年度の危機以前の水準を上回る。IFC、MIGAの支援が増加
ワシントン、2012年6月29日 -2012年度(2011年7月1日-2012年6月30日)、途上国の経済成長、貧困削減、民間企業支援のための世界銀行グループの貸出、グラント、直接投資、保証のコミットメント累計は526億ドルだった。
世銀は最近、2012年の途上国の経済成長見通しを1月時点の5.4%から5.3%に下方修正し、途上国は財政も金融も2008年-09年当時ほど経済の減速に対応できる態勢にはないと指摘した。国際的に資金が枯渇し、世界情勢が急激に悪化した場合、途上国の対応能力は限られたものとなる可能性がある。
2012年度と2011年度の世銀グループのコミットメント(単位:10億ドル)
世銀グループ |
12年度* |
11年度* |
IBRD |
20.6 |
26.7 |
IDA |
14.7 |
16.3 |
IFC |
15+ |
12.3+ |
MIGA |
2.3 |
$2.1 |
合計 |
52.6 |
57.4 |
* 6月29日付け、未監査の暫定値。
++ 自己勘定のみ。投資家を通じて動員された50億ドル以上(2012年度)と64億ドル(2011年度)は除く。
途上国経済が強い逆風を受ける中、世銀グループは貧困層に機会を与え、必要なサービスを届けるために、約884件のプロジェクトを支援した。具体的には、教育・保健サービスの強化、民間セクターの成長促進、インフラ整備、ガバナンスや組織・制度の強化などである。
今年度の成果に貢献した世銀グループ機関には、貸出やリスク管理などの金融サービスを加盟国に提供する国際復興開発銀行(IBRD)、最貧国に無利子融資・グラントを提供する国際開発協会(IDA)、途上国の民間企業に直接投資や融資、保証、アドバイザリー・サービスを提供する国際金融公社(IFC)、政治的リスクを保証する多数国間投資保証機関(MIGA)がある。
「世銀は将来発生する課題に準備ができている」と、ロバート・B・ゼーリック世界銀行グループ総裁は述べている。同総裁は2012年度末で任期を終える。「私が就任して以降の世銀グループのコミットメントは、総額3000億ドル以上に上るが、その大半は各国が食糧危機や経済危機を乗り越えるために提供された。しかし、融資と同様に重要なのは、世銀がクライアント国の官民両セクターと協力でき、各国の課題に応じたサービスを提供できることである。私の在任中、困難に立ち向かい力を尽くしてくれた世銀グループの職員に感謝したい。また、彼らがパートナーである加盟国や企業のニーズに迅速かつ柔軟に対応してくれたことにも感謝する」
2007年、世銀の第11代総裁に就任後、ゼーリック総裁は、困難な状態に陥っていた組織を立て直し、世銀の資本を増強し、近年の食糧、燃料、金融の各危機の発生を受けて最貧国への金融支援を拡大した。また、世銀の改革を進め、これまで以上の説明責任能力、柔軟性、機動性、透明性、良好なガバナンスと腐敗防止に力を注いできた。ゼーリック総裁は世銀の組織や人事において途上国の発言権を拡大し、世界銀行が指示するのではなく途上国自身が自らの優先課題を設定するよう促した。IFCを通じて民間セクター支援の役割を強化したのもゼーリック総裁の功績である。IFCは同総裁の下、貧困国、特にアフリカ諸国に政府系ファンドや年金基金の資金を動員した。