最貧国における貧困削減と成長を支援する新たな協力枠組み
ブリュッセル、2010年12月15日 — 本日、最貧困層のための世界銀行の基金で、ミレニアム開発目標(MDGs)達成に中心的役割を果たしている国際開発協会(IDA)に対し、総額493億ドルの増資が合意された。
IDA第16次増資(IDA16)の規模は3年前の前回比18%拡大した。従来のドナーのみならず、世銀グループの利益配分、さらに現在および過去のIDA借入国からも多額の資金が誓約された。
「今回の増資の成功は、この厳しい経済状況の中にあっても世界の貧困層に希望と機会を与えるために、ドナーや借入国が互いに懸命な努力をして全世界的な連帯を示した賜である」と、ロバート・B・ゼーリック世界銀行総裁は述べている。「今回の高い支援レベルは、貧困層の人々の生活が実際に改善したか厳格にチェックしてきたIDAの結果重視の支援が支持された証だ」
新たな協力枠組みは、新旧ドナーによる拠出、ならびに過去のIDAの無利子融資借入国による返済の前倒し、さらに世銀と国際金融公社(IFC)からの純利益の資金移転から成っている。
「今回の大規模なIDA増資により、新たに2億人の子供への予防接種、3000万人以上への保健サービス提供、8000万人以上に対する清潔な水へのアクセス、全長8万キロの道路や鉄道の建設、200万人以上の教師の雇用が可能になる」とゼーリック総裁。
合計51のドナーが出資を誓約したIDA16は、2011年7月から2014年6月までの期間を対象としている。したがって今回の合意は、国際社会が2015年までに貧困を半減するなどと決めたMDGsの達成に向け、ドナーと貧困国がIDA資金を有効に活用できる最後のチャンスとなる。
「今回のドナーによる積極的な反応は、途上国の成長が地球規模の成長のエンジンとして必要との観点から、開発資金を単に援助と見るのではなく、将来への投資と考えるべきであることを示している」とIDA16交渉の議長を務めたンゴジ・オコンジョ・イウェアラ世界銀行専務理事は述べている。「IDAによって、開発資金は途上国と先進国の双方に恩恵をもたらすことができる」
今後3年間にIDA資金は、インフラ整備、保健サービス拡充、子供の教育、気候変動への対応など、世界の最貧困国79か国の成長と貧困削減に充てられる。ジェンダー、及び脆弱国や紛争の影響下にある国々の平和構築と開発への取組みに、特に焦点が当てられる。また、サブサハラ・アフリカは引き続きIDA支援の重点対象となる。
「世界中の貧困層、特にIDAの長年の支援により、具体的な結果が出ているサブサハラ・アフリカの貧しい人々とって朗報だ。今回の大規模増資を通じてドナー・コミュニティが示してくれた連帯感に敬意を表したい」と、アフリカ連合議長を務めるマラウイのビング・ワ・ムタリカ大統領は述べている。
ドナーとパートナー達はまた、自然災害や深刻な経済的ショックへの低所得国の対応を支援する新たな危機対応融資制度(CRW)に対するIDAからの資金手当についても承認した。同制度には、2010年の地震からの復興に取り組むハイチに対する特別配分も含まれる。
IDAの増資交渉は累次の会合を経て、最終会合がベルギー政府主催で2日間ブリュッセルにて行われた。ベルギーのディディエ・レンデルス財務大臣およびシャルル・ミッシェル開発協力大臣は、IDA16の合意を歓迎し、困難な財政・経済状況下でのドナー国の尽力に敬意を評した。両大臣は、今回の増資の成功によりIDAが引き続き、最貧困国や脆弱国によるMDGs達成に重要な役割を果たしていくとの認識を示した。
交渉の過程で、過去10年間のIDAの実績が改めて評価された。IDAは、1300万人の命を救い、3億1000万人以上の子供に予防接種を提供し、1億人以上に対する水アクセスを改善し、全長10万キロ以上の道路の建設・復旧を行い、市場やサービスへのアクセスを確保したりしてきた。
「本日の合意を受けIDAは、2億人の人々の生活水準を改善することができる。今回の合意はまた、IDAに対する信任の証であり、納税者から負託された貴重な資金がIDAを通じて開発のために最も効果的に使われることが評価されたものである」と、アクセル・ヴァン・トロッツェンバーグ世界銀行譲許性資金・グローバルパートナーシップ担当副総裁は述べている。
IDAは、貧困国における多くのドナーの取組みと途上国のキャパシティ・ビルディング、制度構築などが調和のとれたものとなるための効果的な基盤として、長期的な開発に欠かせない役割を果たしている。
IDA:最貧困層のための世界銀行の基金
国際開発協会(IDA)は、世界最大規模の援助機関として、保健、教育、インフラ、農業、経済・制度構築の分野で、開発が最も遅れている79か国(うち39か国はアフリカ諸国)を支援しています。IDAによる支援のおよそ5分の1は贈与、残りは無利子の長期融資で、償還期間は10年間の猶予期間を含め35年から40年にわたります。1960年の設立以降、IDAは低所得国に対し2200億ドル以上の支援を提供してきました。過去2年間の平均融資額は140億ドルで、そのうち約半分がアフリカに対する支援です。支援は途上国のニーズに従って透明な手続きで行われ、イヤマークされていないため、より持続可能な結果が望めます。2002年に導入した厳正な結果評価システムのさらなる改善に努めています。透明性は世界最高水準であり、すべての国際機関の中で最も厳格な独立評価を実施しています。効率と効果を重視しており、最近実施された40のマルチ、バイの援助機関を対象とした評価で一位にランクされました。
加盟170か国の監督の下、知識や技術移転の機会を創出し、結果重視を徹底しています。事務管理コストは小さく、借入国からの少額の手数料によって賄われています。