プレスリリース

生物多様性の取組みの加速を―ゼーリック総裁

2010年10月27日




名古屋、2010年10月27日 – 脆弱な生態系に生計を依存している貧しい人々にとって、森林や海洋の急速な破壊は脅威であり、世界はそれらの保全のための取組みを加速しなければならない-ロバート・B・ゼーリック世界銀行グループ総裁は訴えた。

名古屋における生物多様性条約第10回締結国会議(COP10)ハイレベル・セグメントの開会式の演説で、同総裁は、生態系と生物多様性は貧困克服にとって極めて重要であり、世界銀行はこれらの天然資源の保全を一層支援していくと宣言した。

「陸地や海洋の生産性が低下しつつあり、それと共に、貧困脱却に不可欠な生態系の恵み(サービス)も低下している。気候変動の加速に伴い、自然の持つ緩衝機能も失われつつある。絶滅危惧種は、今この瞬間にも地球上から姿を消している」

「世界銀行グループとして、どのような対応が可能か示したい。インフラ、農業、気候変動、政策融資など幅広いセクターにおける我々のプロジェクトを通じて、生態系と生物多様性の恵み(サービス)に対する資金援助を拡大したい」

世界銀行は過去20年間に生物多様性保全に向け、120か国以上に対し60億ドル以上の支援を行っている。こうした支援は、途上国、地球環境ファシリティ(GEF)、環境保護団体、財団、多数のドナー国と協力する形で行われている。

それなりの規模ではあるが、このレベルの支援では十分でない。生物多様性はそれ自体が重要であり、気候変動に派生するものではないという考え方が重要である。「生物多様性は付録ではない。生態系と種の保全は、余裕のある富裕層の贅沢ではない。環境保護と開発は両立が可能だ。我々の棲み家も地球も、それだけの価値があるのだ」

ゼーリック総裁は、生物多様性の存続は、幅広い防衛網を構築できるかどうかにかかっていると述べている。環境省や森林省だけが関心を持っても十分ではない。経済成長、インフラ、貧困克服に関わる様々な省庁にとって重要なのだ。民間セクターも強力な仲間だ。

生物多様性の価値を政策当局者が認識するには、更なる情報が必要である。そのため、生物多様性と生態系の恵み(サービス)の本当の価値を、各国の開発計画や国民経済計算システムに組み込むべきである。世界銀行は28日(木)、各国が持つ生態系の経済価値を評価して経済・開発政策に反映させるための「生態系・生態系サービスの価値評価に向けたグローバル・パートナーシップ」を発表する。

幅広い教訓を導く新たな工夫の例として、世界銀行のグローバル・タイガー・イニシアティブがある。2008年に開始された同イニシアティブの下、各国が協力してその地の自然環境のシンボルとしてトラの保護を図っている。「開発の他の分野で学んだ通り、外部からいかに善意で臨んでも、現地の人々の主体的なとり組みが伴わない限り成功は導けない」と同総裁は述べている。

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プレスリリース番号:
2011/150/EXC

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