横浜、2010年10月21日 - 世界銀行の持続可能な開発ネットワーク担当のインガー・アンダーセン副総裁は本日、21世紀の都市化の課題に直面する世界の都市指導者に対し、「今すぐ、力を合わせて新たな行動を」起こすよう呼びかけた。
横浜で開催された「Eco2都市:エコロジカルで経済的な都市」の会議において、アンダーセン副総裁は「世界開発報告2010」のテーマである気候変動と開発を引用し、都市行政官や国の意思決定当局に「持続可能な開発を実現し、二酸化炭素排出量の少ない経済と社会を作る」よう強く促した。
「我々の今日の行動が、明日の気候、生態系、動植物の生息環境、さらには次世代にとっての選択肢を形作ります」とアンダーセン。「世界が変化を続ける中、持続可能な将来を実現するには革新的な新アプローチが必要です」
アンダーセン副総裁はさらに、「今後二十年から三十年の間に世界中の都市、エネルギー、そして資源管理システムを早急に変えることにより、世界的に排出量や資源の無駄な使用を大幅に削減し、気候変動に耐性のあるインフラを整備しなければなりません」と話した。
また同副総裁は、都市化は21世紀を特徴づける重要な要素であると述べた。「世界中の都市成長のうち90%以上は途上国で起こっています。今世紀半ばには、すなわちここにいる方の多くが目撃できる間に、アジアだけで世界の都市人口の63%に当たる実に約33億人を擁することになります」
「都市化は世界各地域で経済成長を可能にし、数百万人を貧困から解放しました。都市部は現在、世界総生産の4分の3を占めています。世界中の大半の国において、都市部が成長の原動力となっているのです」
そのためそれぞれの都市は「独自の行動計画や、独自の持続可能な都市の道筋を描くという責任を担っています。そこには、政策改革、戦略的プロジェクトや媒体として関わるプロジェクトへの投資、そして組織内での能力構築が含まれます」
「喜ばしいことに、世界中の革新的な都市が、適切な戦略とアプローチをもってすれば、エネルギーと資源利用の効率化を図りながら、同時に汚染や廃棄物を低減できることを証明しています。これらの都市はそうした取組みを通じ、市民の生活の質を向上させ、経済的競争力と回復力を高め、財務基盤を強化し、持続可能性という長く続く文化を作り上げました」
アンダーセン副総裁は、持続可能な優れた都市計画とその実施の効果を示す例として、ヨーロッパのストックホルムやマルモスウェーデン)に始まり、クリティバ(ブラジル)、シンガポール、アーメダバード(インド)、さらには横浜など日本のいくつかの都市の名前を挙げた。
「日本の都市開発の経験は、困難な気象条件や地理的条件の中で急速な都市化を経験している途上国の多くの都市にとっても意味があります [中略] 世界はまた、エネルギー・資源効率の極めて高い製造・工業システムを開発した日本の民間セクターからも学ぶことが出来ます。結果として日本の国民一人あたり二酸化炭素排出量は、G-7国で最低レベルです」と同副総裁。
現在、都市と地方政府に関する世界銀行の新戦略の一環として、途上国の都市が経済的・生態学的に持続可能で、かつ社会的公正性を確保した開発を実現できるよう支援する「Eco2 都市:エコロジカルで経済的な都市」というイニシアティブが進められており、Eco2のパイロット・プロジェクトが、インドネシア、フィリピン、ベトナムで開発中である。Eco2イニシアティブの詳細はwww.worldbank.org/eco2を参照。
アンダーセン副総裁は、横浜でのEco2会議において、持続可能な都市開発と低炭素経済・社会の実現に向けて、世界銀行と横浜市立大学/持続可能な都市のための国際学術協会、ならびに世界銀行と新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)との間で2つの覚書に署名の予定 。
同副総裁はまた、林 文子横浜市長と会見し、再開発された横浜市ウォーターフロント地区を視察予定。