ワシントン、2010年4月25日 ― 世界銀行グループの加盟186か国は本日、860億ドル以上の増資と、途上国の発言力拡大など、歴史的な改革の実施を承認し、貧困と闘う国際機関である同グループを地球規模の危機から抜け出し変革を続ける世界に即するよう位置づけた。
20数年ぶりとなる今回の一般増資と、途上国の投票権の比率変更に加えて、開発委員会は、世銀の危機後の新戦略、ならびに世銀をより迅速で柔軟性に富み、説明責任の高い組織とするための包括的な改革パッケージも承認した。
「加盟国からこれほど強力な信任投票をいただき感謝しています」と、世界銀行グループのロバート・B・ゼーリック総裁は述べた。増資によって得られた新たな資金は、インフラ、中小企業、セーフティネットへの投資を通じて、雇用創出や最脆弱層の保護に活用することができます。今回の投票権割合の引き上げは、今や途上国が世界の重要なプレイヤーとなっているという、多極化された新たな世界経済の現実をより適切に反映するのに役立ちます。先進国と途上国の間で国際的合意に達することが困難な時期にあって、今回の合意は特に重要な意味を持っています」
増資:
- 途上国に支援を行う国際復興開発銀行(IBRD)の862億ドルの増資。一般増資と、投票権割合の変更に連動する選択増資で構成され、51億ドルの払込資本の増額も含まれる。
- 世銀のグループ機関で民間セクターを支援する国際金融公社(IFC)の2億ドルの増資。これは、途上国と新興国の出資比率引き上げの一環として実施される。IFCはまた、理事会の承認が得られれば、加盟国向けのハイブリッド金融商品と収益の留保を通じて、追加の資本注入が検討される予定。
投票権:
- 途上国と新興国(DTCs)の投票権がIBRDに占める割合を3.13ポイント引き上げて47.19%とする。これに伴いDTCsの投票権割合は、2008年以降、合計4.59ポイント増大する。この増加により、2009年10月にイスタンブールで開かれた開発委員会で、DTCの投票権割合を3ポイント以上引き上げるとした誓約が果たされることになる。
- IBRDにおける2010年の投票権割合は、16億ドルの払込資本増分を含めた278億ドルの選択増資により決定される。
- IFCでは途上国と新興国の投票権割合が39.48%に引き上げられる。これによりDTCsの投票権割合は合計6.07ポイント増えることになる。
- IFCにおける2010年の投票権調整は、2億ドルの選択増資と加盟国全体の基礎票の増加により決定される。
- IBRDとIFCの出資シェアを5年ごとに見直すことで合意。長期的に、先進国とDTCsの投票権割合を衡平にすることを誓約。
危機後の戦略:
世銀は、最大の価値を付加できる以下の分野にその戦略的焦点を絞り込んでいる。(1)サブサハラ・アフリカを中心とする貧困層や脆弱層の重視、(2)インフラや農業を特に重視した成長の機会を創出、(3)気候変動、貿易、農業、食糧の安全保障、エネルギー、水、保健の諸問題に対する地球規模での共同行動の促進、(4)ガバナンスや腐敗防止の取り組み強化、(5)危機に対する準備。
業務改革:
今回の一連の世銀改革は、これまでに例をみない最も包括的な改革アジェンダであり、要点は以下の通り。
- インドと米国の情報自由法に基づく新しい「情報アクセス」政策。これにより世銀は、情報開示において国際機関をリードする存在となる。
- 先週立ち上げられた世銀の「オープン・データ・イニシアティブ」。これにより、世銀は他に先駆け、途上国に関する情報に無料かつ容易にアクセスできるようにする。
- 一層 結果を重視し、より迅速に、かつプロジェクト実施量を増やし、リスク管理を強化した投融資改革。
- 腐敗の予防と制裁措置に関する国際的協調に注入する資源を増やす形でのガバナンスと腐敗対策の強化。先月発表された、複数の国際開発金融機関と交わされた、不正を相互排除するための新たな覚書も含まれる。