「私の出身地である広島市と世界銀行との間で、都市開発の知見を世界に共有するための都市連携プログラムが結ばれ、戦後の焼け野原から西日本の主要都市へと著しい成長を遂げた広島の経験に学ぶイベントが開催されることを大変うれしく思います。…中略…広島は、戦後復興から成長に至る過程で、都市開発に関する知見を豊富に得ており、その経験が本日参加されている皆様それぞれの国の発展につながることを強く期待します。」
岸田文雄 内閣総理大臣
第二次世界大戦の焼け野原から立ち上がった広島市は、希望、平和、そして再生のシンボルへと変貌を遂げました。広島の驚くべき復興過程は、自然災害、紛争、経済的混乱の余波を受けた世界中の都市に、都市の復興と回復力について貴重な教訓を与えてくれます。
ヒロシマの変容: 和解と癒し
一度は壊滅的な打撃を受けた広島は、中国地方の重要な経済拠点として復興しました。瀬戸内海に面したこの街は、都市の復興を単なるコンクリートや鋼鉄で表現するのではなく、和解と癒しの感動的な物語を世界に発信しています。
国際シンポジウム「復興から成長へ」の開催
東京開発ラーニングセンター(TDLC)と広島市は、このほど国際シンポジウム「復興から成長へ:広島の経験に学ぶ~広島とウクライナ・東欧諸国・中央アジア諸国の対話~」を開催しました。 今回のシンポジウムは、TDLC、世界銀行関係者、アゼルバイジャン、クロアチア、ギリシャ、コソボ、キルギス共和国、ポーランド、ルーマニア、ウクライナの代表者による4日間の知見共有プログラムの一環として開催されました。
当日は、世界各国のリーダー、世界銀行関係者が一堂に会し、欧州・中央アジア地域の都市が直面する危機への対応策を議論しました。日本政府の後援をうけたこのイベントは、広島が戦争で荒廃した都市から、近代的で回復力のある住みやすい都市になるまでの道のりに焦点を当てました。参加者は、重要なインフラやサービスの復旧、復興に向けた短期的な解決策と長期的な解決策について理解を深めました。
基調講演では、ウクライナのアナ・ユルチェンコ地域社会・領土・インフラ開発担当副大臣が、自国において広島の経験を生かすことの重要性について語りました。また、国際社会に対し、1年以上前のロシアの侵攻で大きな被害を受けたウクライナの復興支援を呼びかけました。
より環境にやさしく、強靭な都市をつくる
世界銀行持続可能な開発担当副総裁のユルゲン・フォーグレは、逆境に直面しても、適応し再建する都市の可能性について語りました。特に都市が持続可能性を高めていくうえで、グリーンインフラ、低炭素交通、省エネルギー建築物を推進していくことが重要だと述べました。さらに、災害リスクの軽減と準備への投資は、脆弱なコミュニティを保護し、必要なサービスへのアクセスを確保することができる、と強調しました。