今後の採用動向
今回の日本人リクルートメントミッションは、日本とのパートナーシップの促進、日本人専門家の世界銀行グループでの活躍を通して日本の知見を各種分野に反映するというこれまで通りに目的と同時に、上記のような人事戦略や優先課題の達成に向けた具体的活動の一環としての意味合いもあります。そうした目的を達成するために、今回の日本人リクルートメントミッションでは新たな取り組みを取り入れています。その一つがタレントプール制度の創設です。
新たなスキル、そして課題解決能力を兼ね備えた人材の発掘という優先事項に鑑み、特定の専門分野に限定せずに、ビジネスニーズに応じて広く人材を募集する試みです。例えば、世界各地における活動拠点の強化と脆弱・紛争・暴力(FCV)状況での業務確立のためには、途上国の現場経験がある各種国際開発分野の専門家が必要になってきます。また第3の優先事項で述べたような組織内部の施策の実現には開発専門家のみならず、人事、法務、知識管理、監査などの管理部門の専門家の活躍も不可欠であり、こうした専門分野を通じて世界銀行グループで勤務する機会も増えてくるものと思われます。
このように、より広範な領域から、様々な専門家の求人が増えることが見込まれるので、現在空席になっているポストがご自身の専門と合わないような場合でも、こうしたタレントプールの制度を活用していただけると幸いです。なお、ご提出いただいた情報をもとに、ご紹介できるポジションが応募可能になった際にご案内するという流れになっています。
世界銀行については、ビズリーチ社のポータルを活用 し10月24日までキャリア登録が可能になっていました。今後も同様の取り組みを定期的に実施し登録期間を設ける予定ですので、次回の応募準備の参考情報として今回の要件を記しておきます。
【必須要件】
【求める人物像】
高度なコミュニケーション能力を持ち、政策分析・対話能力に長けている 強い知的好奇心と優れた戦略的思考・行動力を有する 強いリーダーシップを発揮しながら、チームワークを大切にした働き方ができる 柔軟性を持ち、多様性を受け入れた仕事を行える 専門性とトランスファラブルスキル(応用可能、どこでも使える、例:統計学)の両方を持っている
【その他】
フランス語、スペイン語、途上国での勤務経験は尚可 ・商社、メーカー、コンサルティング、金融、エンジニア、アカデミア(研究者)出身の日本人も活躍中 ・多くのポストは修士号(国内・海外大問わず)が必要 一方IFCでは、前回同様、TOR(空席)を元にした選考も実施されており、ワシントンDCを始め、世界各地の事務所ポストで現在選考が進められています。加えて、タレントプール制度も並行して実施しており、11月6日現在で複数のポスト群で登録可能となっています。詳しくはこちらのリンク を御覧ください。いずれも、ポジションにご応募いただいた方々は、IFCの候補者リストに登録、今後6カ月以内に随時、採用のためのご連絡をさせていただく予定です。
世界銀行グループへの転職を実現するために今できること
今月は世界銀行グループとして、ゲイ人事担当副総裁を始め、世界銀行・IFC両サイドから人事幹部や採用スタッフが来日し様々なワークショップやキャリアセミナーが開催される予定です。昨年まではオンライン開催が中心でしたが、今回は対面形式またはヴァーチャル併用形式で実施されるイベントも多く、ミッション団も人事副総裁、局長級に加え、数名の採用担当者が訪日し実用的な情報提供や、より職員目線に近いところで意見交換ができるのではと期待しております。よって近い将来世界銀行グループへの転職を検討されている方は、こういったセミナーにぜひ参加されることをお勧めします。
代表的なものとしては、11月15日にキャリアセミナー「世界銀行グループで働く」 が世界銀行東京事務所で実施されます。こちらはハイブリッド(会場参加またはオンライン参加)で、遠方の方にもご参加いただけます。会場での参加者の方には、パネル・質疑応答終了後、その場でスピーカーと直接話すことができるネットワーキングのための時間を設けます。IFC主催の各種イベントのうち、ハイライトは、期間中数日にわたって行われる日本人現役職員によるリレー形式のキャリアトークです。また、11月10日(木)実施の「Linkedinプロフィールの改良方法」で、ルディ・マレーニョIFC人事部人事オフィサーが採用担当者を惹きつけるLinkedinプロフィールの書き方について、直々に伝授します。第14回の人事ブログ記事でデジタル・ネットワーキング~英語での情報発信のすすめ と称して紹介させていただいたLinkedinの有用性についてもこちらのワークショップで議論される予定ですので、ご関心のある方はぜひ参加をご検討ください。なお、IFCの各種イベントについては、詳細や登録はIFCリクルートミッションのサイト をご覧ください。
*お知らせ
2020年から2年半にわたってワシントンDC本部人事総局で活躍する人事担当者が、採用動向と応募準備の心得や世銀の職場としての魅力をタイムリーに情報発信させていただいてきましたが、今回が当コーナーの最終回となります。長らくのご購読ありがとうございました。採用情報は引き続き東京事務所サイト内「採用情報」などで提供させていただきます。
筆者略歴 戸崎智支 人事総局 HRビジネスパートナー Satoshi Tozaki, HR Business Partner
早稲田大学政治経済学部卒業後、鉄道会社、外資系会社勤務。その後アジア経済研究所開発スクール(IDEAS)を経て、コーネル大学にて産業労働関係学修士号を取得。多国籍企業の人事マネージャーとして北アメリカ、東南アジア、日本法人等で勤務後、2014年に国連に移り、国連人口基金(UNFPA)ニューヨーク本部人事戦略および分析担当官を歴任。2016年に採用担当官として世銀に移籍。金融、保健、環境、およびインフラ関連の専門家、エコノミストの採用を担当。2018年よりHRビジネスパートナーとしてクライアントサービスチームに異動。日本人リクルートミッション事務局運営担当も歴任。世界銀行グループにおける様々なグローバル人事・ダイバーシティイニチアチブに携わる。