デジタル革命が世界のあらゆる場所、社会と商取引のあらゆる側面にまで及んでいる今、農業・食料システムもまた、変革のときを迎えています。
世界銀行は、このほど発表した報告書「農業・食料システムのデジタル変革の現状」の中で、デジタル技術がいかに食料システムを向上させているかを掘り下げ、各国による独自のデジタル農業の規模拡大への行程表として、農業・食料システムにいかにデジタル技術を導入していくかを示しています。同報告書はまた、食料システムの効率性、公平性、環境面の持続可能性を高めることのできる評価政策プロポーザルの枠組みを提示しています。
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デジタル農業は、収穫量の拡大や食品廃棄物の削減、農業従事者が生産した農作物に見合った収入を確保するために役立ちます。農業従事者は、必要な情報を遅滞なく受け取れば、適切な市場に出荷して間違いなく正当な価格で販売できるからです。そうした情報は、デジタル技術と、その技術で可能となるほぼ瞬時の知識共有によりもたらされます。情報格差の是正と取引コストの引き下げが実現するのです。
「デジタル革命は、農業・食料システムをかつてない形で変革できる膨大な可能性を秘めています。具体的には、同システムの発展を妨げている情報格差と取引コストを飛躍的に是正し、その結果、農業従事者や食料を農業に頼る80億人近くの生活を改善します。」と、世界銀行のカテリナ・シュローダー農業エコノミスト兼タスクチーム・リードは説明します。
今回の新型コロナウイルス感染症危機では、一部で店頭から食品が消えるなど食料システムの脆弱性が露呈しました。他方で、余剰農作物の廃棄を強いられる農家もみられました。デジタル技術は、食料システムにおけるこのような非効率性を最小限に抑える機会をもたらします。
2014年、農家当たり1日平均19万データ・ポイントが取得されましたが、専門家は、2050年までに約410万データ・ポイントに増えると予測しています。農業従事者がこの大量の情報を分析できれば、市場に出して利益を確保できる量のみ栽培するため植付けを調整することが可能になります。