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特集 2020年3月2日

質の高いインフラ投資原則を通じたケニアの都市開発支援

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要点

  • 東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、初の現地派遣型の都市開発実務者向け対話型研修(TDD)をケニアにて開催し、都市開発の知見を現地で実践していくための支援を提供しました。
  • 質の高いインフラ投資(QII)、公共交通指向型開発、低所得者を対象とした手ごろな住宅(アフォーダブル・ハウジング)、廃棄物管理など、世界銀行がケニアで融資を行っている都市プロジェクトに関連する議題が取り上げられました。
  • 研修では、ミクストユーズ(都市空間の複合利用)の活用や包括的な廃棄物管理の重要性、ケニアの既存の鉄道網に沿った開発の将来性などが重要な点として挙げられました。

2020年3月2日~6日

ケニアで進行中の開発事業を支援する新しい形のTDD

ケニア政府は、世界銀行のケニア都市開発担当チームやTDLCと共同で、2020年3月2日から6日まで、ナイロビとナイバシャで「ケニア都市開発ワークショップ」を開催しました。ケニアは都市開発の課題に積極的に取り組んでおり、TDLCの都市開発実務者向け対話型研修(TDD)にも参加しています。今回のワークショップは、国内で実施中の世界銀行の開発事業を支援するために、ケニア政府の要請によって企画されたもので、TDLCとしては初の「現地派遣型TDD研修」となりました。

ワークショップでは、現在進行中の開発事業に関連する手ごろな住宅、公共交通指向型開発、廃棄物管理の3つの主要議題に焦点が当てられました。また、すべての議題を横断して、質の高いインフラ投資原則の適用、経済効率の向上、社会的および環境的包摂性の確保、都市の強靭性強化、効果的なインフラ管理の促進に重点がおかれました。

技術的なテーマセッションに加え、参加者はナイロビ標準軌鉄道の駅、改良されたナイバシャのインフォーマル居住地域、ジオトのゴミ集積場、ナイバシャの衛生社会事業など、世界銀行が融資を行っているプロジェクトの現場を訪問しました。また参加者は、マタトゥ(ケニアで公共交通機関として広く利用されている乗り合いバス)にも乗車しました。

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ナイロビのアフォーダブルハウジング事業であるパークロードプロジェクトについて、日本の質の高いインフラ投資の専門家やケニアの他地域からの参加者に説明するケニア政府関係者
写真: 世界銀行グループ

本研修には、ケニアの土地・住宅・都市開発省の代表者や、国内の8つの州の都市計画・住宅・交通・都市開発・廃棄物管理の各部門の責任者、ケニア鉄道の代表者、民間セクターの代表者など約60名が参加しました。日本からは、国土交通省、国際協力機構(JICA)、地球環境戦略研究機関の関係者や、建設、不動産、再生可能エネルギー、建築資材などの民間セクターの専門家が参加しました。


"ナイロビ・メトロポリタンサービス改善プロジェクト、ケニア都市支援プログラム、ケニア・インフォーマル居住地域改善プロジェクトなどの既存や新規の事業には、強靭性やその他の質の高いインフラ投資原則をさらに取り入れることができます。"
ジョセフ・ カラゴ博士
ケニア住宅・都市開発省

TDD研修の知見を行動計画に反映する

今回の現地派遣型TDD研修を通じて、ケニアの既存の鉄道システムが、乗客の増加や線路沿いの公有地活用の機会も含め、駅レベルおよび交通回廊レベルでの公共交通指向型開発を検討する上で重要な入口となることが確認されました。特に、鉄道システムの結節点付近の複合型住宅は、居住性の向上や経済成長を促進する可能性があることがわかりました。また、住宅金融へのアクセスや既存住宅のオンラインでの情報サービスは、活発で透明性の高い住宅市場を促進することがわかりました。

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ケニアTDD研修中に行われたナクルカウンティ、ジオトのゴミ集積場での視察の様子
写真:世界銀行グループ

廃棄物管理も非常に重要なテーマであり、特にケニアの廃棄物管理に欠かせない非正規労働で、廃棄物の処分場などで有価物を回収・売却することで収入を得ている人々の問題を含めた包括的な計画を立てるよう注意を払う必要があります。ケニアは、最近のミツビリの最終処分場のような成功事例をもとに、事業を拡大していくことも重要です。そしてそれらの事例から得られる知見を文書化し、他の地域に提供することができます。

今回の現地派遣型TDD研修は、過去のTDD研修参加者が再会し、ケニアの国と自治体の政府が、ナイロビ・メトロポリタンサービス改善プロジェクト、ケニア都市支援プログラム、ケニア・インフォーマル居住地域改善プロジェクトなど、世界銀行が融資を行っている都市プロジェクトの状況を共有し、短期支援やその他の技術支援について互いに検討する機会でもありました。

TDLCの融資事業向け技術協力は、日本の専門家と世界銀行の知見を活用し、主に「都市開発実務者向け対話型研修(TDD)」のフォローアップとして、途上国の複雑な都市開発の課題に対応するための専門知識や技術支援を提供しています。



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