2019年12月16~20日
インドネシア、ジャカルタ
今年で第3回目の開催となった「ジャカルタ都市トランスフォーメーションラボ」と呼ばれる都市課題を包括的に解決するための政策や知見を共有するイベントにおいて、日本の自治体と企業が都市開発に関する経験を共有しました。
今回のラボでは、世界各国の都市代表者が一堂に会し、ジャカルタでのこれまでの取り組み、課題、成果を視察し、他の都市の成功体験や解決策について情報交換を行いました。ワークショップ、視察、情報交換、行動計画策定等の活動を通じて、組織間連携の調整、総合的な都市交通、都市再開発、住宅、スラム改善、防災や地方財政等について議論が行われました。
約70名の参加者のうち、ダルエサラーム(タンザニア)、ナイロビ(ケニア)、ダカール(セネガル)、ケープタウンとヨハネスブルク(南アフリカ)、ホーチミン(ベトナム)、重慶市(中国)、メデジン(コロンビア)がインドネシア国外から参加し、インドネシア国内からは、バンドン、ベンジャルマシン、ボゴール、デンパサール、パレンバン、セマラン、ソロ、スラバヤ、ジョグジャカルタから多くの参加者が集まりました。
山田氏は、府と市が協力と役割分担の明確化を通じて効率的な行政運営に移行していることを説明しました。その成功は「競争から協調へ」という言葉にも集約されるとおり、副首都推進本部会議によってさらなる組織的な基盤を固めつつあること、副首都推進局は大阪府と大阪市からほぼ同じ人数の職員が派遣されており、計画や戦略における協調、日常業務における協力を行っていることなどが説明されました。さらに経済的な指標も改善していることなどが示され、広域での協力にはさまざまな成果や効率性の改善につながることが、参加者と共有されました。
中山氏は、東急株式会社の経験から、民間企業も広域での都市サービス提供を担うことができると強調しました。いわゆる「私鉄ビジネスモデル」すなわち土地開発、住宅開発、商業開発、鉄道運営を包括的に行うモデルを通じて、都市圏開発を総合的に支え、結果として住宅取得がしやすくなり、なおかつ通勤等のための都市中心部へのアクセスも担保されることを説明しました。さらに、そのモデルの中心的メカニズムである区画整理スキームも併せて紹介し、政府が担う初期投資や整備コストが少ないこと、特に「東急方式」、すなわち区画整理組合における一つの地権者である東急が、5,000ヘクタールにおよぶ大規模かつ長期にわたる開発事業を事実上牽引するという手法に参加者の関心が集まりました。また、日本では都市計画策定の段階において、民間企業が検討メンバーとして参画することが可能であることなども、特徴的な点として挙げられました。
今後の計画
世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は、広域での都市管理および都市サービス提供に関して、日本からの専門家派遣を通じてインドネシアを始めとする世界各国に今後も支援する予定です。本テーマに関する今後の支援としては、2020年4月に日本で開催される実務者研修会合(TDD)が予定されています。