2019年8月28日〜30日
横浜市
背景
質の高いインフラへの投資は、公共財政の健全性を確保しつつ、インフラがもたらす経済、環境、社会および開発面における効果を最大化し、経済活動の好循環を創出します。アフリカは現在、力強い成長を続けており、日本のインフラと都市開発における経験と技術に高い関心を持っています。横浜市は、質の高い都市開発に向けた取り組みに協力しながら、アフリカとともに成長を目指し、持続可能な開発目標(SDGs)の達成に貢献しています。
世界銀行 都市・防災・強靭性・土地グローバルプラクティスは、世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)、防災グローバル・ファシリティ(GFDRR)とともに、2019年8月28日〜30日に横浜で開催された第7回アフリカ開発会議(TICAD7)期間中に開催されたサイドイベントに参加しました。
TICADは多国間協力とパートナーシップ、特に日本との連携強化を通じたアフリカの開発、平和および安全保障の促進を目的として、1993年以降、日本政府が主導し、国連、国連開発計画(UNDP)、アフリカ連合委員会(AUC)および世界銀行が共催する国際会議で、今回開催されたTICAD7には、アフリカ53カ国、開発パートナー52カ国、108の国際機関、公共および民間セクターグループ、NGOなどから1万人以上が参加しました。
世界銀行 都市・防災・強靭性・土地グローバルプラクティスからは、サメ・ワーバ担当局長が参加し、(1)国土交通省が開催した質の高いインフラ投資をテーマとする「第2回日・アフリカ官民インフラ会議 」での大臣級ラウンドテーブルのモデレーター、(2)国際協力機構(JICA)、環境省、横浜市、国際連合人間居住計画(UN-Habitat)および国際連合環境計画(UNEP)が主催する「アフリカのきれいな街プラットフォーム(ACCP)」第2回全体会合において、世界銀行の報告書「What a Waste 2.0」からアフリカ地域の事例を中心に発表、(3)国土交通省が開催した質の高いインフラ投資をテーマとする「第2回日・アフリカ官民インフラ会議」セッション3のモデレーター、および持続可能な都市開発に向けた世界銀行のアプローチについて紹介、(4)JICAと世界銀行が共催したサブサハラ・アフリカ地域における気候変動への統合的なアプローチに関するセッションで、西アフリカ沿岸部管理プログラム(WACA)について基調演説を行いました。
発表の要旨
質の高いインフラ投資(QII)による都市開発
アフリカの成長と持続可能な開発達成における質の高いインフラ投資は非常に重要です。こうしたインフラ投資によって、ライフサイクルコスト分析を通じた経済効率の改善、インフラ投資における社会と経済両面への配慮、自然災害および気候変動リスクに対する強靱性の構築、ならびにガバナンスの強化が可能となります。
持続可能な都市の実現
ワーバ担当局長がモデレーターを務めた「第2回日・アフリカ官民インフラ会議」における大臣級ラウンドテーブルならびに、コートジボワール、コンゴ民主共和国、タンザニア、ナイジェリアの代表者が参加したセッションにおいて、アフリカの都市において都市変革が急速に進んでいることが示されました。ワーバ担当局長は、成長と持続可能な開発の促進、手ごろな住宅に対する需要の増加とのバランス、公害、水、衛生面の課題への対策、公共交通機関と接続性の改善計画、都市の拡張、といったアフリカにおいて持続可能な都市開発を実現するための世界銀行の支援を紹介しました。また都市の課題は土地市場および産業コストを踏まえて対処する必要があり、このため、各状況に適した制度面の調整、規制改革および政策がさらに重要となると指摘しています。
廃棄物管理の資金支援
廃棄物管理の資金支援をテーマとするACCPのセッションにおいて、ワーバ担当局長は、廃棄物管理は非常に複雑な課題であり、従来の資金支援だけでなく、革新的な統合バリューチェーンのアプローチが必要であると強調しました。さらに、廃棄物管理の約30〜50%が公的セクター以外により行われていることから、市民社会やNGOと協力してインフォーマル・セクターを包摂することが不可欠であると述べました。
ワーバ担当局長は結論として、アフリカ地域の持続可能な開発の鍵は政策改革、公共・民間のインフラ投資および強靱性の強化であると強調しました。
「持続可能性と経済成長の両立に成功した北九州市など日本の都市の事例は大きな後押しとなる」サメ・ワーバ世界銀行 都市・防災・強靭性・土地グローバルプラクティス担当局長
今後の計画
世界銀行は共催機関としてTICADのイニシアティブに積極的に関与しています。TDLCは今後も引き続き経済発展、貧困、紛争などアフリカが直面している喫緊の課題について、アフリカ諸国のリーダーと開発パートナー国間の政策対話を促進します。