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特集 2019年7月15日

スリランカとモルディブにおける「建築規制を活用した防災」ワークショップ

2019年7月15-16日
モルディブ、マレ

スリランカとモルディブでは、頻発する洪水、津波、嵐、サイクロンなどの自然災害が人々の暮らしに悪影響を与え、インフラを破壊し、生活に不可欠なサービスの提供を妨げています。また、急速な都市開発が品質管理の乏しい状況で行われるため、人命を脅かす建物の自然発生的な倒壊や建設事故が発生しています。

日本-世界銀行防災共同プログラムでは、世界銀行東京防災(DRM)ハブおよび防災グローバル・ファシリティ (GFDRR)が代表し、両国が 建築規制を活用した防災(BRR)プログラムを通じて建築都市環境における安全性と強靭性を強化できるよう支援しています。本プログラムの一環として、スリランカとモルディブにおける現在の建築規制能力の評価、そしてこの能力のさらなる強化に向けた優先行動への提言が示されています。この支援は、建築規制における日本の知見や経験から学び、両国と結びつけることで、スリランカとモルディブの強靭性を高めることを目的としています。

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スリランカにおけるBRCAプロセスについての見解を発表する住宅・建設・文化省 (Ministry of Housing, Construction and Culture Affairs)のエンジニア、チャンパ・アラハクーン氏 
(出典:世界銀行/GFDRR)

モルディブ政府とスリランカ政府がマレにて、「建築規制能力評価(BRCA)に基づく行動計画策定ワークショップ」を2019年7月15日と16日にそれぞれ開催しました。各ワークショップは世界銀行、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン EPICentre、スリランカにあるモラトゥワ大学、およびモルディブのRiyan Private Limitedなどの現地パートナーと共同で開催されました。同ワークショップの目的は、両国で進行中のBRCAの調査結果を検証し、建築規制枠組のさらなる強化に向け、提言された行動の中から優先すべき事項を協議することです。 

ワークショップで導かれた主な成果

モルディブにおける強靭性の実現に向けた支援

BRCAに基づくモルディブ行動計画策定ワークショップでは、国家計画・インフラ大臣(Minister of National Planning and Infrastructure) 、モハメド・アスラム氏、およびMNPIの国家計画・インフラ担当国務大臣(Minister of State for National Planning and Infrastructure from the Ministry of National Planning and Infrastructure [MNPI])、モハメド・アリ氏が議長を務めました。モルディブ政府からは住宅省(Ministry of Housing)、観光省(Ministry of Tourism)、国防軍省(Ministry of National Defense Force)、イスラム教省(Ministry of Islamic Affairs)が、現地の関連団体からは土木技術者協会、MNACI、建築家協会、土建業者協会などが、さらに国際機関からはUNDPやモルディブ赤新月社(Maldives Red Crescent)など、様々なグループのステークホルダーが参加しました。

「(建築)基準を整備する必要があります。国民の安全に対し妥協はできません。規制メカニズムを強化しなければなりません。このワークショップがわが国において、より良い規制を整備するための機会となることは間違いありません。」国家計画・インフラ大臣、モハメド・アスラム氏

モルディブのワークショップでは最後に、優先される一連の提言に焦点を当てて終了しました。

  • 「国家開発計画」(2019~2028年)の達成よび実施。アクセスしやすくかつ安全で、技術的にしっかりとした建物の建築に向けた政策を含める。
  • 「モルディブ建築基準法」を実施するためのコンプライアンス文書作成、災害リスク検討の強化、災害データ収集を強化して建築基準策定に活用
  • 技術担当職員の能力構築といった実施メカニズムの支援、コンピュータによる許可制度の整備、制度強化、細分化された認可プロセスの効率化 

スリランカ向けの効果的な法整備

BRCAに基づくスリランカ行動計画策定ワークショップでは議長役を、国家建築研究所(NBRO)のアシリ・カルナワルデナ博士、建設業開発庁(Construction Industry Development Authority [CIDA])の建築士、H. K. バラチャンドラ氏、および住宅・建設・文化省のエンジニア、チャンパ・アラハクーン氏が務めました。ワークショップには都市開発庁、CIDA、NBRO、災害管理センター、およびコロンボ市議会から主要な職員が参加しました。

「実際に現地で実施することが重要です。建築基準の整備は、オープンで透明かつ包括的な過程を経ていくことで成功につながります。全過程を通じて幅広く協議し、民間セクターや市民グループなどの様々な団体を巻き込んでいくことが必要です。また、テクノロジーの利用やデータ管理を行うことが、効果的な実施につながります。」住宅・建設・文化省のエンジニア、チャンパ・アラハクーン氏

本ワークショップを行った結果、優先すべき行動として以下の事項が特定されました。 

  • 「スリランカ建築基準法」を、国内の災害、設計、建設習慣などに応じて新たに策定し、実施する。
  • 法律、規制および制度上の命令における乖離や重複を減らす一方で、制度上の能力を高める。
  • 建物の認可プロセスを改善し、研修プログラムを通じて現地当局者の能力を高める。

今後に向けた道筋

BRCAに基づくモルディブ行動計画策定ワークショップの成果は、世界銀行の支援のもと進行中のモルディブにおける防災および都市セクター業務に知見を供給します。- (i)進行中の 、災害リスク繰延引出オプション(Cat-DDO)付きの開発政策ローンとパンデミック緊急ファシリティ(Development Policy Financing with Catastrophe Deferred Drawdown Option and Pandemic Emergency Financing Facility) (ii) 提案されたモルディブ都市開発および強靭性プロジェクト(Maldives Urban Development and Resilience Project)

今回のワークショップの成果は、今後の具体的かつ実行可能な行動に向けた指針となります。スリランカとモルディブはBRCA以降も世界銀行の支援を受け、より強靭でより安全な建築都市環境を実現するため、引き続き効果的な法律の制定を行っていきます。

 



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