2019年5月13~14日
ジュネーブ、スイス
2019年5月13日から14日にかけてスイス・ジュネーブにおいて、「強靭な復興に向けた包摂(Inclusion for Resilient Recovery)」をテーマに第4回世界復興会議(WRC4) が開催されました。
本会議は、第6回防災グローバルプラットフォーム会合(GPDRR、2019年5月13~17日)と並行して開催され、2011年の第1回会合以来、強靭性と復興の分野に携わる専門家らを招いて2年ごとに開催されています。
今年の会合では、先進国と途上国の双方から防災分野のリーダーや専門家、政策担当者や実務者らが集い、強靭性の構築と包摂的な復興プロセスにおいて、社会的不利な立場の人々に積極的参加を促進していくためには、各国政府や国際機関、またNGOや市民社会団体にとってどのような方法が有効であるのか話し合いました。
世界銀行東京防災ハブが参加をお願いした陸前高田市参与、および同市市政アドバイザーの村上清氏、そしてDPI日本会議議長の平野みどり氏はいずれも、日本の防災管理における優良事例と経験から得た教訓を共有する上で、今回極めて重要な役割を果たしてくださいました。
「包摂vs.排除:リスクと機会(Inclusion vs. Exclusion: Risks and Opportunities)」のセッションでは、2011年に発生した東日本大震災と津波によって壊滅的被害を受けた陸前高田市で復興活動を率いた村上氏に、当時のさまざまな経験をお話いただきました。具体的には、復興プロセスでの社会的排除に伴うリスクとコストのほか、より公正かつ強靭な社会を築く上で包摂的アプローチがもたらすメリットについて議論し、包摂的な復興アプローチの促進を発表しました。
国・地域レベルの災害時避難計画には女性と障害者(PWDs)の視点を取り入れ、一人ひとりのニーズに応えられるようにしていく必要があります。
平野氏は、障害を持つ女性リーダーの一人として「障害者の包摂(Inclusion of People with Disabilities)」と「リスクの格差解消と復興における女性のリーダーシップ促進(Addressing the Inequality of Risk and Promoting Women’s Leadership in Recovery)」の2つのセッションに参加。これまでの個人的経験、また現DPI日本会議議長および元熊本県議会議員としての経験から得た知見を共有しました。
上記のセッションで平野氏は、2016年の熊本地震を中心にこれまでの自身の経験と教訓についてお話くださいました。地元の障害者リーダーの皆さんが「被災地センターくまもと」を設立した取り組みがその一つです。障害を持つ人たちの支援ニーズは、個人によってさまざまに異なり特殊です。そのため、そうしたニーズに応じた特別支援サービスを提供できるよう、同センターが設立されました。身体的障害によって避難所を訪れることのできない人たちのために、食糧や備品を届けた事例などが紹介されました。
ジェンダーによって異なるニーズを見出すための手段について、平野氏は「女性たちの間では今、自治体や支援組織に対し、ソーシャルメディアや女性支援団体などを通じて自分たちのニーズや意見を積極的に広めていく必要がある、と考える人が増えている」と述べました。また、こうした取り組みに加えて正規の学校教育にジェンダーに基づく学習を取り入れれば、より包摂的な社会の実現に向けて大きく前進するとともに、災害復興においても社会全体での取り組みが可能になると強調しました。