2018年10月21日から26日までの期間、日本・アフリカの大学連携に関する第1回公開フォーラムが東京と京都で開催されました。同フォーラムは、日本政府の支援により世界銀行が運営を担当したもので、コートジボワール、エチオピア、ガーナ、マラウイ、ナイジェリア、ルワンダ、セネガル、タンザニア、ザンビアからアフリカの学術界を代表する25人が参加しました。
これは、大学連携に向けた長期的なパートナーシップを進めるために日本政府が参加国が刻んだ重要な第一歩であり、今後、共同研究、教員・学生の交流、科学・技術・工学・数学(STEM)の分野におけるイノベーションが促進されることが期待されています。
このパートナーシップを通じ、アフリカと日本それぞれの大学に連携強化やビジネスの機会を提供すると共に、その実現に向けて、日本の高等教育、科学技術イノベーション(STI)政策、さらには研究・イノベーション分野におけるアフリカ各国の大学連携モデルに関する知識・経験を共有していきます。具体的には、日本の政府・大学・企業とアフリカの高等教育機関の連携が、アフリカ・センター・オブ・エクセレンス(ACE)及び応用科学・工学・技術のスキル向上に向けたパートナーシップ (PASET) の2つのアフリカ高等教育支援プラットフォームを通じて進められます。
5日間にわたった同フォーラムは参加者にとって、PASETとACEを通じて開発された大学連携モデルについて学ぶ機会となりました。また、日本の政府・大学・研究機関の代表により、産学連携、イノベーションを支えるエコシステムの創出、日本の高等教育モデル、STI政策と研究資金調達モデル、さらには国際協力機構(JICA)の高等教育の取組みなどについて議論が行われ、参加者の理解を深めました。加えて、日本初の単位互換制度の他、インターンシップ・プログラム、大学を通じた都市開発の推進を目指した大学コンソーシアム京都による京都府内の大学間のコンソーシアム構築の取り組みが、参加したアフリカ大学関係者の共感を呼びました。この他にも同フォーラムでは、参加者が日本国内で以下の15の大学や研究機関を訪問し、具体的な連携の機会について話し合う機会が設けられました。
- 東京大学
- 東京農工大学(TUAT)
- 芝浦工業大学(SIT)
- 早稲田大学
- 東京女子医科大学
- 千葉工業大学
- 国連大学
- グローバルヘルス政策研究センター(iGHP)
- 上智大学
- 工学院大学
- 京都大学
- 神戸大学
- 長崎大学
- 同志社大学
- 立命館大学
さらに参加者は、日本企業7社を訪れ、ICT(オンライン教育、人工知能(AI)、ブロックチェーン)、農業、水、保健、鉄道の各セクターにおける連携の機会を模索するため、理解を深めることができました。ご協力いただいた企業は、武田薬品、サントリー、東急電鉄、ちとせバイオエボリューション、リベルダージ、 クーガー、キャスタリアの7社です。
「科学技術の分野でアフリカ人材育成のためアフリカの大学とマルチレベルの連携を図ることになり光栄です。今回の連携を第一歩とし、アフリカ大陸における科学・技術・工学・数学(STEM)の分野の充実に尽力し、相互に学び合うための長期的な関係を構築していけるよう期待しております。」と、財務省 国際局 開発機関課の今村英章課長から挨拶がありました。
「日本・アフリカの大学連携」第1回公開フォーラムは、アフリカのSTI分野における高等教育充実に向け、リソースへの投資拡大と連携強化のために、日本の政府・大学・企業から多大な支援が表明されたことにより実現しました。PASETとACEが、そうした目標達成に向けた持続可能かつ具体的な取組みを進めるための主要なプラットフォームとなります。 5日間にわたった今回のフォーラムでは、PASET地域奨学金・イノベーション基金の受け入れ大学 との間で2件の覚書が締結されました。1件目のMoUは、ソコイネ農業大学と東京農工大学の間で、 2件目は、ガストン・ベルジュ大学とオンライン教育を手がける企業キャスタリアの間で、それぞれ締結されました。この2件に加え、現在10件のMoUが最終起草段階にあり、さらに20件がアフリカと日本の大学・研究機関・企業の間で検討されています。
「今回のフォーラムにおいて特に注目すべきは、締めくくりに当たり、ACEに参加する14研究機関それぞれから今後の日本の大学や企業との連携構築に向けたフィードバックが紹介されたこと、そして、検討中の提携関係が多岐にわたることです。今後、参加機関の一つひとつから確かな成果が上がるものと確信しています。」と、PASET執行委員会のマイク・ヒューズ委員長 は述べています。