2018年10月18日
インドネシア、ジャカルタ
インドネシア国家開発計画庁(BAPPENAS)が、ジャカルタで2018年10月18日から19日まで、世界銀行の東アジア・大洋州地域の災害リスク管理チーム、東京防災ハブ、およびCBMオーストラリアの協力のもと、「インドネシアにおける、障がい者にもやさしい包摂的な都市開発と災害リスク管理に向けて」ワークショップを開催しました。このワークショップには、インドネシア国家政府、自治体、コミュニティー団体の代表者が参加し、インドネシア、日本、ハイチ、ネパールでの障がい者のニーズも取り入れた包摂的な災害復興活動による教訓について議論が交わされました。
「都市はすべての人にとって「やさしく」つくられているとは限りません。災害は都市問題をさらに複雑化させ、例えば障がい者へ配慮をした避難経路、避難情報、避難所の欠如、障がい者が日々使用する補助器具の喪失、生活再建のための支援不足、等の問題を引き起こします[1]」。このような背景を基に、今回のワークショップは、世界銀行の都市開発や災害リスク管理の投資案件と関わるインドネシア政府職員と、各国の優良事例と包摂的な開発の考え方を共有することを目的に実施されました。
DPI日本会議議長、平野みどり氏は、このワークショップの2日目に行われた「障がい者の経験に学ぶ」セッションに参加し、日本の災害リスク管理に関する事例を発表しました。自ら障がい者で車椅子利用者でもある平野氏は、過去に地震で被災した経験を基に、避難所へのアクセスのしにくさ、障がい者のニーズに対する緊急支援者の理解不足等について言及しました。
平野氏は、過去に直面した課題から得た教訓を基に、障がい者ネットワークと協力しながら被災した障がい者に対し緊急支援を提供した経験を取り上げ、災害後の復興プログラムにおいて包摂的な開発を主流化する際の参考となるような事例も発表しました。 更に、包摂的な災害対応における障がい者保護の原則とジェンダーへの配慮の重要性についても話しました。
[1] Turning ‘disability’ into ‘ability’: opportunities to promote disability inclusive development in Indonesia
ジャカルタで開催されたこのワークショップでは、政府のすべての取組を包摂的に進める方法についてを議論すると同時に、この取組を達成するのに参加者一人一人が自ら果たせる役割について考える機会も提供しました。平野氏の日本からの経験と教訓は、障がい者に対する政府や国民の理解に重要なインパクトを与えるとともに、国家が災害リスク管理の投資プロジェクトをより包摂的なものにするためのヒントとしても役立ちました。