2018年3月12~16日 東京、仙台、神戸 ― 地震により、平均で毎年400万人以上が極度の貧困に追いやられています。日本ではこの難題に立ち向かうために、質の高いインフラと建物に対して継続的な投資を行なっており、地方自治体と住民も意識的に備えていますが、こうしたアプローチは世界銀行のクライアント国にとって、自国の地震に対する強靭性を向上する上での新しいアイデアとソリューションになり得ます。
世界銀行の東京開発ラーニングセンター(TDLC)と東京防災ハブは日本政府と共に地震リスクとレジリエンスに関する5日間の分野別実務者研修会合(TDD)を共催し、以下に関する知見を世界銀行のクライアント国とチームに伝えました。
TDDには、日本を含め、年間平均120万人が地震の危険にさらされている世界銀行クライアント10か国(バングラデシュ、エクアドル、インド、インドネシア、ケニア、マラウィ、ミャンマー、ネパール、ペルー、フィリピン)の実務者と政策決定者が参加し、地震リスクの特定、観測と警報システム、事前の備え、インフラと建造環境における減災に関する知見と経験を共有しました。
TDDでは各分野の専門家との対話型セッションや参加者同士の意見交換に加え、地震と津波で大きな被害を受けた仙台と神戸での視察が行なわれました。
3月11日、日本は記録史上最大級の地震と津波により1万9,000人を超える人々が犠牲になった東日本大震災から7年を迎えました。地震が社会に与える影響は多大である一方、これほどの規模の地震や津波はそう頻繁に起きるわけではありません。この特徴が、地震リスクに立ち向かおうとする国々に、相互に関連する3つの課題を突き付けます。
(i) 日本の地震リスクに関する正確で最新の科学的理解
(ii) 包括的な法的・制度的枠組み
(iii) 災害に備える行動様式、災害リスク管理計画や投資に対する過去の災害から得た教訓の組織的な取り入れ
これらの取り組みにより、日本政府は国民や経済が過度の危険にさらされることを防いでいます。
財務省国際局開発機関課 課長補佐の向井豪氏
TDDには、内閣府、国土交通省、気象庁、国際協力機構 (JICA)、仙台市、神戸市、東北大学災害科学国際研究所、防災科学技術研究所など、日本の主要な災害リスク管理機関が出席しました。
仙台市は、インフラ資産管理において、災害に対する強靭性を高めるなど、地震と津波に備えるために実施している構造的および非構造的措置を紹介しました。仙台市危機管理室防災計画課長の鈴木知基氏は、コミュニティにおける強靭性を高めることが重要であると指摘し、「我々市の職員が最大限の努力を行なっても、災害時の支援には限りがある。自助・共助が必要不可欠。住民の防災意識や地域の助け合いが重要だ」と述べました。また、災害時の直接的な情報の伝播、避難誘導や避難所運営などを指揮する「地域防災リーダー」の仕組みについて説明を行ないました。
1995年1月に阪神・淡路大震災に見舞われた神戸市では、12万棟の建物が全壊または損壊しました。4,500人以上が命を落とし、うち70%以上の人々が建物倒壊により亡くなりました。神戸市では、市の職員が (i) 建築基準法を実施するための現場の能力を高め、(ii) 地域の意識向上と全国規模の補助金制度による包括的な改修プログラムを通じて、建物の強靭性を高めたと説明しました。