4月25日にネパールを直撃したマグニチュード7.8の大地震は、2,000校を超える学校施設を部分損壊し、5,000校以上に被害を及ぼしました。この地震および余震がもたらした大規模な学校施設の破壊による子どもたちの育成への影響が懸念されています。
ネパールの状況が例外なのではなく、毎年世界中で発生する自然災害が、子どもたちの教育に計り知れない影響を及ぼしています。最近の例では、平成25年の台風第30号ハイヤンにより、フィリピンでは2,500校以上が損傷、140万人の子どもたちが被害を受けました。また、近年のマラウイの洪水による被害は数百校に上り、35万人以上の子どもたちの教育が中断される事態となりました。
過去10年間にわたり、国際開発金融機関、国連機関、NGOが、より災害に強靭な学校づくりに取り組んできました。こういった努力にもかかわらず、災害に脆弱な国々では学校施設の安全性についての認知度は低く、政府やドナーは安全性を考慮せず新規学校建設のための資金調達を続けています。ネパールの例を挙げると、安全性に欠ける建築基準や技術管理の不備が、施工不良や脆弱な学校施設という結果をもたらしています。このような現状を踏まえ、以下のような疑問に対する答えを見つけなければなりません。
- なぜ世界の多数の学校は、洪水、ハリケーン、地震等の自然災害による影響を受けやすいのでしょうか。
- いくつかの国では、子どもと教員の安全性を確保し教育サービスが中断されないよう管理体制を確立していますが、どのように行っているのでしょうか。なぜ、他の国では確立されていないのでしょうか。
- 学校施設の安全性確立に向けた体系的取り組みを支援するために、何ができるでしょうか。
革新的なパートナーシップに基づくアプローチ
防災グローバルファシリティ (GFDRR) は、近年、上に挙げられた問題の解決と脆弱な国々の子どもたちの保護に向け、「災害に強い学校のためのグローバル・プログラム (GPSS)」を立ち上げました。
この新しい取り組みでは、災害による学校施設への物理的影響を抑えることにより、自然災害に対し、より強靭な学校施設・地域社会づくりを促進します。具体的には、財務、公共事業、教育関連省庁と連携し、リスクに対する検討事項を新規および既存の教育セクターにおける投資に組み込み、強靭性向上に向けて大規模な取り組みを行っています。