栄養への投資は、健全な社会、より健全な経済、より強力な人的資本につながるグローバルヘルスにとって最善の投資です。しかし、1 億 4,800 万人の子供たちが依然として発育不全に陥り、世界中で 7 人に 1 人の子供が低出生体重児で生まれています。
世界銀行の新報告書「栄養への投資フレームワーク2024」(Investment Framework for Nutrition 2024)では、栄養不足対策への投資1ドル当たり23ドルのリターンが期待できると指摘しています。間もなく開催される「成長のための栄養(N4G)サミット パリ2025」(Nutrition for Growth Paris 2025)にあたり、また2030年までにより良い医療サービスを15億人に提供するという世界銀行グループの最近の発表を踏まえ、今回のセミナーでは、各国が栄養不足や過体重/肥満に対処するために活用すべき費用対効果の高い、エビデンスに基づいた投資と政策に向けたフレームワークに関する調査結果の主なポイントをご紹介しました。
本投資フレームワークは、あらゆる形態の栄養失調に対処するため、より効果的かつ持続可能な資金調達に向けて、各国のキャパシティ構築を後押しすることを企図しています。また、人的資本の向上、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)の達成、持続可能な開発目標(SDGs)に向けた取り組みを支援するという点で、重要な役割を果たします。
プログラム
開会挨拶
木原大策
財務省 国際局 開発政策課長
報告
アビゲイル・ペリー
世界銀行 栄養グローバルリード(オンライン参加)
岡村恭子
世界銀行 上級栄養専門官
討論
亀井温子
国際協力機構(JICA)人間開発部長
大森功一
世界銀行東京事務所 上級対外関係担当官
報告者紹介
アビゲイル・ペリー
世界銀行 栄養グローバルリード
2025年1月より現職。それ以前は、2021年8月より世界食糧機関(WFP)栄養局長として栄養失調対策を統括するとともに、WFPの栄養失調・食事改善に関する2025-2030年戦略の策定を主導した。それ以前は、英国外務国際開発省(Foreign, Commonwealth & Development Office、旧英国国際開発庁)において栄養政策チームのヘッドとして、英国政府による栄養に関する取り組みを主導し、ブラジルおよび東京で開催された「成長のための栄養サミット」をはじめ、様々な機会での他のドナー機関、財団、政府関係機関との調整を統括した。また、英国の2017年栄養に関するポジションペーパーの作成、2013年の「成長のために栄養サミット」での英国のコミットメントの実行を主導した。セーブ・ザ・チルドレン、アクション・アゲンスト・ハンガーで栄養専門官として従事し、アフリカおよびアジアにおける人道援助・開発の栄養関連の活動を担った。ロンドン大学衛生熱帯医学大学院、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンで栄養に関する調査研究とキャパシティ構築に従事した。公衆衛生・栄養学修士号を取得している。
岡村恭子
世界銀行 上級栄養専門官
保健政策に関する調査研究、栄養ファイナンスおよびガバナンス、栄養失調の多い国々における大規模な栄養プログラムの管理統括に関して20年以上の経験を有する。栄養に関する公共財政マネジメント、栄養に焦点をあてた保健政策・財政を含む肥満防止戦略、ユニバーサル・ヘルス・カバレッジのための栄養サービスデリバリー、農業・社会的保護・教育など複数セクターにわたる取り組みなどの分野で、政策、調査、技術的な業務における主導的な役割を担ってきた。栄養への取り組み拡充(Scaling Up Nutrition :SUN) ムーブメントのエグゼクティブ・コミッティーにおける金融専門家メンバー、成長のための栄養(N4G)金融・アカウンタビリティワーキンググループの共同リード。「栄養のための投資フレームワーク2024」共編者。
発表資料
Investment Framework for Nutrition 2024(英語、PDF)