世界銀行は2024年9月17日、新報告書「途上国のためのサイバーセキュリティの経済学」(Cybersecurity Economics for Emerging Markets)を発表しました。
デジタル技術が日常生活のさまざまな側面を急速に変革し、相互接続がますます今日では、特に途上国におけるサイバーセキュリティが担う役割は極めて重要です。途上国は最新のテクノロジーの力を活用し、経済成長の促進、公共サービスの強化、生活水準の向上を進めようと試みていますが、同時にサイバー脅威によるリスクの高まりにも直面しています。途上国がサイバーインシデントにさらされる機会が増えていることは、資源の不足、インフラの不十分さ、政情不安、サイバーキュリティとテクノロジー市場の非効率性、熟練したサイバーセキュリティ専門家の不足、法制度の空白、デジタル導入のすぎる進行などにより、途上国がサイバーインシデントにさらされる可能性はさらに高まります。
同報告書は、世界各地でのサイバーインシデントの原因と、それによりもたらされた重大な影響について分析しています。同報告書では、サイバーインシデントによる影響は、経済全体を不安定にする可能性のある経済的後退から、重要なサービスの中断や社会経済発展の阻害に至るまで広範囲に及ぶと指摘しています。
今回のモーニングセミナー(第206回)では、同報告書を執筆したエステファニア・ヴェルガラ・コボスが、同報告書の主なポイントを日本の皆様に向けてオンラインでご紹介しました。
スピーカー
エステファニア・ヴェルガラ・コボス
世界銀行 インフラストラクチャー担当チーフエコノミスト室 エコノミスト
サイバーセキュリティ全般を含む、途上国におけるデジタル化がもたらす経済・開発への影響に関する調査分析に従事。世界銀行入行以前は、サンタクララ大学、, Universidad de las America、ストーリーブリック大学などで開発経済学を教えていた。ストーリーブルック大学で経済学博士号、ゲーム理論学修士号を取得。デジタルトランスフォメーションに関する研究に統合するコンピュータ科学についても学んだ。
発表資料
Cybersecurity Economics for Emerging Markets(英語、PDF)
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