世界銀行の各地域担当チーフエコノミスト室では、毎年春と秋の2回、各地域の経済概況と展望をまとめた地域経済報告書を発表しています。このうち、ヨーロッパ・中央アジア地域については2024年4月11日、「ヨーロッパ・中央アジア地域経済報告2024年4月版―民間セクターの力を解き放つ」(Europe and Central Asia Economic Update, April 2024: Unleashing the Power of the Private Sector)を発表しました。
同報告書では、世界経済の低迷、金融引き締め政策、中国の減速、一次産品価格の下落が同地域の成長見通しの重しとなっており、域内の新興国や発展途上国の経済活動は今年、減速する可能性が高いと述べています。
同地域の成長率は、ロシアと戦争で打撃を受けたウクライナ両国の経済が成長に戻り、中央アジアのより力強い回復により、2023年には3.3%に大幅に増加した後、今年は2.8%に減速する可能性が高く、2025年はほぼ変わらないと、同報告書では予測しています。
見通しに対する逆風はいくつかが考えられ、主要貿易相手国とくにユーロ圏の予想よりも遅い回復、制限的な金融政策、地政学的展開の悪化により、地域全体の成長がさらに鈍化する可能性があります。
今回のモーニングセミナー(第191回)では、同報告書をとりまとめたチームが主なポイントを、日本の皆様に向けてオンラインでご紹介しました。
日時
2024年5月2日(木)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー
セルギー・カシヤネンコ
世界銀行 ヨーロッパ・中央アジア地域担当チーフエコノミスト室 エコノミスト
ドロテ・シンガー
世界銀行 ヨーロッパ・中央アジア地域担当チーフエコノミスト室 上級エコノミスト
金融へのアクセス、金融包摂性の評価(Global Findex)、国際金融における制度・組織の役割に関する研究に焦点をあてている。2009年、世界銀行入行。オランダのティルブルグ大学で経済学博士号を取得。
発表資料
Europe and Central Asia Economic Update, April 2024: Unleashing the Power of the Private Sector(英語、PDF)