日本―世界銀行防災共同プログラム(Japan-World Bank Program for Mainstreaming Disaster Risk Management in Developing Countries)の支援の下、ペルーの政府代表や公益事業の事業者を対象とした強靭な水供給と衛生(WSS)サービスに関するイベントを2023年1月17日に開催し、以下のことを実施しました。
i) 気候変動や過去の自然災害から学んだ教訓に基づく、アダプティブマネジメント(適応的管理)を用いて培ってきた水供給と衛生サービスの強靭性構築に関する日本の知見と専門知識の共有。
ii) 日本―世界銀行防災共同プログラムの枠組みの下で、世界銀行がリマ上下水道公社(Sedapal)に提供した2件の技術支援助成金にて得られた成果の普及。この助成金はSedapalの規模の拡大とともに、そのプロジェクトサイクルに自然を基盤とした解決策(NbS)を組み込み、上下水道プロジェクトにかかわる長期投資計画に大きな不確実性下の意思決定(DMDU)を取り入れることで、ペルーの水供給と衛生サービスの自然災害に対する強靭性を高めることを目的としています。
本イベントでは、東京防災ハブ上級防災専門官の齋藤恵子が日本のWSS環境の強靭性に関する概要を説明し、東京防災ハブが作成したナレッジプロダクト「強靭な水供給と衛生サービス:日本の事例(Resilient Water Supply and Sanitation Services: The Case of Japan)」を紹介しました。
さらに、日本の強靭な水供給と衛生サービスの実践例として、福岡市と仙台市のケーススタディが共有されました。福岡市の事例は質の高い水道管を採用して漏水を減らしたこと、および下水の再利用を促進することで、水道インフラ資産のライフサイクル全体にわたって強靭性とコスト削減を実現していることが紹介されました。
また、仙台市危機管理局 防災・減災部長の田脇正一氏がライフラインに関する事前の備えから東日本大震災と津波による被災、そして復旧にまつわる仙台市の事例をあげてWSSの強靭性強化に必要なことを発表しました。また、質疑応答セッションでは、日本の経験について活発な議論が交わされました。
ペルーが水の安全と自然災害や気候変動に対する強靭性を高めるべく、自身で道を切り開いていくうえで、日本の専門知識と教訓は非常に貴重なものです。本イベントの参加者は、ペルーが強靭性へのアプローチを深めていく中で、日本との協力関係を継続していくことに関心を示していました。