世界銀行は2022年10月5日、新報告書「貧困と繁栄の共有2022年版:進路の修正」(Poverty and Shared Prosperity 2022: Correcting Course)を発表しました。同報告書では、今後10年間に歴史を覆すような経済成長率を達成できなければ、2030年までに極度の貧困をなくすという目標を達成することは難しいと指摘しています。同報告書は世界銀行が2年に1度発表する、世界銀行の2大目標である「貧困の撲滅」「繁栄の共有の促進」に焦点を当てた報告書シリーズの最新版で、過去数年間の世界経済への一連の衝撃の余波をうけた貧困の状況を包括的に分析した初の報告書です。同報告では、パンデミックにより、2020年末までに推定7億1900万人が1日2.15ドル未満の生活を余儀なくされ、これは1990年に貧困に関する世界的なモニタリングが行われるようになって最大の増加であったと分析しています。
今回のモーニングセミナー(第158回)では、同報告書をとりまとめたチームのジェド・フリーマン世界銀行開発研究グループ主任エコノミストとヨンソー・キム貧困・平等グローバルプラクティス上級エコノミストが、同報告書の主なポイントについて日本の皆様に向けてオンラインでご紹介しました。
日時
2022年12月8日(木)午前8時-9時(日本時間)
スピーカー
ジェド・フリーマン
世界銀行 開発研究グループ 主任エコノミスト
ウエルビーイングと貧困の計測、保健・社会政策の評価に関する研究に従事。現在、カザフスタン、ザンビア、ジンバブエにおける保健金融改革、インドとフィリピンにおける幼年期栄養・開発投資プログラム、ペルーとマラウィにおける調査ベースのウエルビーイング計測の新たな手法に関する研究業務に従事している。スタンフォード大学で哲学学士号、ミシガン大学で経済学博士号を取得。
ヨンソー・キム
世界銀行 貧困・平等グローバルプラクティス 上級エコノミスト
財政・社会政策の分配的影響に関するグローバルソリューショングループのリードを務める。現職以前は、ヨーロッパ・中央アジア地域および南アジア地域における貧困・平等に関する業務に従事。2018年から2021年まで、スリランカのコロンボ事務所に駐在。これまで、貧困、不平等、財政帰着、インフォーマル性、空間的格差に関する分析業務を主導してきた。世界銀行入行前は、韓国開発研究院(KDI)アソシエイトリサーチフェローとして、移住、労働、保健分野の研究に従事。メリーランド大学カレッジパーク校で経済学博士号を取得。
発表資料
Poverty and Shared Prosperity 2022: Correcting Course (英語、PDF)
報告書全文「貧困と繁栄の共有2022年版:進路の修正」(英語、PDF)