気候変動や紛争、疫病、害虫の大量発生による飢餓の拡大に加え、新型コロナウイルス感染症拡大が経済にもたらした大きな影響、食糧などの一次産品価格の上昇により、食糧確保という点で世界的な危機に直面しています。今回のセミナーでは、国際農業研究協議グループ(CGIAR)傘下の研究センターの一つである国際食糧政策研究所(IFPRI)で食糧価格、貿易、貧困に関する調査研究を主導するウィル・マーティン上級研究フェローの来日の機会を捉え、低所得国・中所得国・高所得国における食糧供給・消費と食事の質に関する同氏の最新の研究の主なポイントとどのような政策が求められるのかについてお話ししました。
日時
2022年12月2日(金)午前11時~午後12時(日本時間)
スピーカー
ウィル・マーティン
国際食糧政策研究所(IFPRI)上級研究フェロー
貿易政策、生産性向上、貧困削減、開発援助の優先順位付け、農業支援の環境インパクトなどに関する研究に従事。2015年にIFPRI入所。それ以前は、世界銀行で約25年間にわたり在籍し、うち6年間は農業・農村開発研究チームを率いた。開発途上国にとってのウルグアイラウンド、中国のWTO加盟、ドーハ開発アジェンダがもたらしうる影響などに関する調査研究業務に従事。2007-8年の食糧価格ショックに関する分析は、貧困層への影響についての関心を高め、同ショックに対する世界銀行の政策と取り組みの形成に貢献し、グーグルスカラーによれば論文の引用は14000回以上に達した。2015年から2018年まで、国際農業経済学会(International Association of Agricultural Economists)会長。1975年から1988年まで、オーストラリア農業資源経済局の研究員および上級マネージャー。1988年から1990年まで、オーストラリア国立大学の国立開発学センター上級研究フェロー。クイーンズランド大学、オーストラリア国立大学、アイオワ州立大学で経済学と農業経済学を学んだ。
発表資料
Consumer demand for healthy diets: Modeling the impact of food access on consumption (英語、PDF)