都市は人と資源が集中する場所です。生産性の高い交流が頻繁に起きる環境であるため、新しいビジネスアイデアや機会が創出され、事業や産業が次々と生まれます。また、高い人口密度に対応するインフラやサービスの整備が効率的に行われることで生産コストが下がり、労働者と事業者のより良いマッチングが可能となります。更に競争とイノベーションを通して、都市経済は産業の専門性を深め、国の経済を生産性の低いセクターから高いセクターへと突き動かしています。その結果、都市が一国の経済のエンジンまたは成長の原動力となっていくのです。
しかし、多くの途上国では、都市本来の経済力を引き出すことに苦戦しています。また、市民が平等に都市化のもたらす利益の恩恵を受けているわけでもありません。規制・制度環境が非効率であるゆえに、ビジネス取引にかかるコストも上昇しています。さらに、不十分なインフラ整備やサービスが、住民と事業者双方の生産性を妨げていることも少なくありません。歴史的・政治的な理由から土地管理に課題を抱え、不動産マーケットが機能不全に陥っている事例もあります。これら全ての根底にあるのは、地方ガバナンスの弱体化と、教育、技能などの総合的な人的課題を含むキャパシティ不足です。
本TDD2日目と3日目の5月24日(火)と25日(水)の一部を一般公開しました。一般公開日のテーマは「競争力のあるまちづくりの推進」と「貧困層のインフォーマル労働者の雇用確保と生計の支援」です。
日時 2022年5月24日(火)午後8時~午後9時30分 (日本時間)
プログラム
テーマ別 プレゼンテーション 1:競争力のあるまちづくりにおける市長の役割
本セッションでは、自治体に向けた地域経済開発(LED)と雇用創出につながる競争力のあるまちづくりのフレームワークと、世界銀行がこのアプローチを適用して途上国の都市を支援した経験から得た教訓について紹介します。
登壇者・モデレーター
ディミトリ・シヴァエフ
世界銀行 都市専門官
ディーン・シラ
世界銀行 主任都市専門官
日本の事例 1:神戸市による神戸医療産業都市再開発への歩み
本セッションでは、1995年の阪神淡路大震災からの「よりよい復興」を遂げ、神戸産業都市として再開発を実現した神戸市の経験と主な教訓を紹介します。
登壇者・モデレーター
藤原 政幸
神戸市 医療・新産業本部長
三木はる香
世界銀行TDLC 業務担当官
テーマ別 プレゼンテーション 2:雇用創出プログラムー現場からの視点―
本セッションは、雇用創出プログラムにかかる支援の選択肢について説明します。また、地域経済活性化をさらに推進するために実現した体系的な変革の課題や機会について議論します。
登壇者・モデレーター
ジェフ・ラスター
カリフォルニア州サンノゼ市 戦略的パートナーシップディレクター
ディーン・シラ
世界銀行 主任都市専門官
*順不同。登壇者・モデレーターは変更となる可能性があります。
日時: 2022年5月25日(水)午後8時~午後9時10分(日本時間)
プログラム
日本の事例2:包摂的な社会に向けた総合的なアプローチ―セーフティネットからトランポリンまで
このセッションでは、ホームレスや都市の貧困問題に対する日本の国や自治体の政策や取り組みについて探ります。高齢者、障害者、子育て、社会的企業の必要性など、様々な社会的側面にも触れます。
登壇者・モデレーター
青山 佾
明治大学名誉教授、元東京都副知事
マイトレイ・ダス
世界銀行 都市・防災・強靭性・土地グローバルプラクティス (GPURL)プラクティス・マネージャー
テーマ別 プレゼンテーション 4:インフォーマル労働者の支援
本セッションでは家内労働者、ウェスト・ピッカー、物売りの存在を認識した上で保護し、支援する都市づくりについて議論します。
登壇者・モデレーター
マーサ・チェン
インフォーマル雇用の女性:グローバル化と組織化(WIEGO)シニア・アドバイザー
シャリ二・シンハ
インフォーマル雇用の女性:グローバル化と組織化(WIEGO)インド代表
マイトレイ・ダス
世界銀行 都市・防災・強靭性・土地グローバルプラクティス(GPURL)プラクティス・マネージャー
*順不同。登壇者・モデレーターは変更となる可能性があります。