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 イベント

ニカラグアにおける学校の安全強化:教育省と世界銀行の総括会議

2022年2月2日

オンライン開催

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  • 質の高い教育の提供は、持続可能な開発を最も強力に後押しする要素です。しかし世界各地で自然災害が子供の教育を受ける機会に悪影響を及ぼしています。自然災害は学校インフラを破壊するのみならず、生徒や教師に身体的・精神的ストレスを与え、緊急対応や復旧作業により教育再開が遅れるなど、長期的な影響も及ぼします。強靭な学校インフラは質の高い学習環境を保障するために極めて重要であり、特にニカラグアのようにハリケーンや地震など多様な自然災害にさらされている国では、その傾向はさらに顕著です。世界銀行の学校インフラ・グローバル・ライブラリー(GLOSI: Global Library of School Infrastructure)のデータベース「学校インフラのグローバル・ベースライン」によれば、ニカラグアでは地震被害による学校の年間平均損害額は727百万ドルに上り、毎年平均58名が震災により学校で命を落としています。

    世界銀行では、災害に強い学校づくりのためのグローバル・プログラム(GPSS)の一環として、「質の高い教育のための同盟プロジェクト(仮訳)」を実施しており、ニカラグアの対象校において教育の質の改善や物理的な教育環境の改善を目指しています。日本―世界銀行防災共同プログラムは、技術支援案件「中央アメリカにおける災害に強い学校インフラを支援する融資プロジェクトへの技術支援」を通じ、こうした取り組みを支援してきました。本技術支援はニカラグアの「質の高い教育のための同盟プロジェクト」に対し、技術的な支援を提供しているほか、学校インフラの計画や管理における教育省の能力強化を推進しています。

    2022年2月2日に教育省と世界銀行は、これまでにGPSSを通じニカラグアに提供されてきた技術支援に関する総括会議を行いました。ニカラグア政府からはSalvador Vanegas教育担当大統領補佐官が出席したほか、鈴木康久在ニカラグア日本国大使や国際協力機構(JICA)ニカラグア事務所の代表者も参加しました。

    会議では、2021年に教育省に提供された技術支援の概要が紹介されました。この技術支援では教育省の学校インフラ総務部のスタッフ30名以上を対象に、テレビ会議を通じ能力強化訓練が実施されました。計40回のセッションを通じ、参加者は強靭な学校インフラに関する一般的な理論や概念を学び、実践的な経験を積んだほか、中南米諸国における過去の事例を振り返りました。会議で鈴木大使は、強靭なインフラにとどまらず包括的にリスクや災害に備えることの重要性を訴え、これまで教育省が本技術支援を活用して行ってきた取り組みを激励しました。

    総括会議で取り上げられた能力強化訓練のほかにも、2020年以降、世界銀行は、本技術支援でニカラグアやエルサルバドル政府に対し、学校インフラ強靭化のための技術的基盤を継続的に改善していくための支援を行ってきました。特に、投資計画の策定や、投資の事前調査、気象災害に強靭な学校の設計、そして現在実施中の世界銀行プロジェクト管理における支援を行っています。さらに、本技術支援で行われた分析調査からは、中央アメリカ全土の学校インフラに関する戦略や政策、投資事業を設計するための知識やツールが得られました。現在、分析調査の結果を3冊のテクニカルノートに集約する作業が進められており、来期に完成する予定です。

    日本は全国で学校インフラの安全性を改善するために、技術的、制度的、法的、そして予算的な課題に対応してきましたが、こうした日本の経験は、グローバルツールの開発や中央アメリカにおける本技術支援の実施に大いに役立つものでした。さらに、中央アメリカにおける学校設計の改善では、日本の建築家が採用してきたデザイン原理が参考にされています。テクニカルノートの作成には日本の専門的知見が活用され、例えば、日本政府が世界銀行グループやOECDと推進している「質の高いインフラ投資フレームワーク」や、2020アンダースタンディング・リスク・フォーラムでGPSSが主催したセッションでは、日本人建築家の手塚貴晴氏が発表した「デザイン原理」や、新型コロナウイルスの感染空間や喚起の重要性に関する研究などが参考にされています。

    世界銀行グループは今後も学校インフラのリスク軽減や強靭性強化に取り組んでまいります。そして、包摂性や環境への配慮を育み、子供たちを未来の課題に備えさせるために必要なインフラを推進します。

イベント詳細

  • 日時: 2022年2月2日