都市の高密度化は、生産性向上と住民の所得増加につながる社会環境を整えましたが、同時に、持続可能な開発への道を阻む新たな課題をもたらしました。都市は、世界の国土のわずか2%の面積であるにも関わらず、富の80%以上を生み出し、二酸化炭素排出量の70%を占めています。
このような背景から、今日世界を牽引する都市は、持続可能な開発への取組みを強化し、国連の持続可能な開発目標 (SDGs)やパリ協定の目標を達成するための戦略を採用しています。途上国でも持続可能な都市を設計するために、低コストでインパクトのある技術を活用したスマートソリューションの利用が広がっています。しかし、こうしたソリューションを拡大させていく中でユーザー中心の考え方を維持するには、入念な計画と調整が必要です。また、ソリューションの展開において、行政機関が制度を拡大させ、情報格差により誰も取り残されないようにすることも重要です。
世界銀行東京開発ラーニングセンター(TDLC)は都市連携プログラム(CPP)のパートナー都市である横浜市や、アジア開発銀行研究所(ADBI)と連携し、アジア・スマートシティ会議に参画してきました。日本で開催される同会議は、持続可能な都市開発を実現するための、低炭素なスマートソリューションの適用に関する日本と世界の経験を共有する役割を担っています。
第10回アジア・スマートシティ会議(2021年10月26日よりオンライン開催)は、「カーボンニュートラルの実現に向けた都市間連携によるスマートシティ~コロナ時代の展望~」をテーマに開催され、アジアの主要都市や政府機関、国際機関、学術機関、民間企業の代表者が議論しました。
TDLCによる世界銀行セッションでは、都市開発専門官が途上国の事例をもとにスマートシティ開発の概要を説明しました。また、スマートシティ開発のソリューションや政策に関する日本の事例も紹介しました。