7月29日に世界銀行は、ガーナにおける沿岸部強靭化のためのマルチセクター投資計画(MSIP)策定に向けて、キックオフ・ワークショップを開催しました。ワークショップはガーナの環境・科学・技術・イノベーション省(MESTI)との協力のもとで行われ、約50名のステークホルダーが参加しました。在ガーナ日本国大使館を代表して勝村昌央一等書記官も出席し、冒頭で挨拶をしました。
西アフリカ地域は沿岸部に大きく依存しており、特にガーナでは人口の4分の1と経済的資産の80パーセントが沿岸部に集中しています。その一方で、西アフリカ沿岸部は洪水や風化などの深刻な脅威にさらされています。こうした災害は海岸を劣化させ、生態系を危険にさらし、人々の生活や健康を脅かすほか、経済発展の可能性を損ない、自然災害への脆弱性を更に高めます。そのためガーナや西アフリカ地域では、沿岸部の強靭性を強化するための早急かつ大規模な投資が求められています。
世界銀行は西アフリカ沿岸部(WACA)管理プログラムを通じ、共有する海岸資源の管理を改善し、沿岸コミュニティに影響を及ぼす自然や人為によるリスクを減らそうとする沿岸国の取り組みを支援しています。ガーナで今後策定されるMSIPは、沿岸部のリスク管理のための投資に向けた資金調達において、政府や協力機関の意思決定ツールとして役立つことが期待されます。
日本政府が支援する日本―世界銀行防災共同プログラムでは、技術支援事業「ガーナの沿岸強靭性に向けた対策の開発」を通じ、こうした取り組みに貢献してきました。本技術支援により、ガーナ沿岸におけるハイリスク地点を特定するための分析調査が行われ、特定されたハイリスク地点で地域社会が直面する自然災害リスクを軽減するために、強靭なインフラによる具体的な解決策を導くためのプレフィージビリティ調査が行われます。こうした調査はMSIPの基盤となり、また、ガーナおよび西アフリカ地域沿岸部の強靭性改善を目標に現在計画されている世界銀行プロジェクト「西アフリカ沿岸部インフラ強靭化プロジェクト2(WACA ResIP II)」の準備に向けて重要な情報を提供します。同プロジェクトの土台となる「WACA ResIP I」は、ベナン、コートジボワール、モーリタニア、サントメ・プリンシペ、セネガル、トーゴの6つの西アフリカ諸国において、沿岸部のコミュニティや資産の強靭性強化や地域統合の強化を支援してきた多国間地域プロジェクトです。WACA ResIP IIはガーナおよびギニアビサウを対象国とし、地域統合活動を更に強化します。日本―世界銀行防災共同プログラムによる技術支援は、ガーナにおける同プロジェクト活動の基盤を構築します。
7月29日に開催されたキックオフ・ワークショップは、MSIPやWACAの投資事業を包摂的なものとするための取り組みであり、様々なステークホルダーがMSIP策定の方法論やプロセスについて学び、投資における優先事項について意見を共有しました。
日本は防災や持続可能な資源の管理において深い知識と豊富な経験を有します。日本のそうした知見を西アフリカ地域に移転すべく、WACAジャパン・ナレッジ・ネットワークが、今後設立されます。同ネットワークがガーナの沿岸管理の強化にも貢献することが期待されます。