2021年6月3日、世界銀行は新報告書「ヒマラヤ山脈の氷河:気候変動、ブラックカーボン、地域レジリエンス」(Glaciers of the Himalayas: Climate Change, Black Carbon and Regional Resilience)を発表しました。工場、料理、車両によって排出されるブラックカーボンにより、ヒマラヤ山脈の氷河の融解を加速する気候変動の影響が悪化しています。同報告書では、ブラックカーボンの排出をより積極的な抑制により、氷河の融解を遅らせ、南アジア地域における水資源の安全性を向上させると指摘しています。同報告書では、燃費基準の強化、ディーゼル車の段階的廃止、電気自動車の促進など、ブラックカーボンの排出量を削減するために実施されている現在の政策は称賛に値するものの、ブラックカーボンを23%しか削減せず、同地域における氷河の融解水の流入の加速化を防止するには十分ではないと分析しています。そして、氷河の融解を現在のレベルに封じ込めるために、経済的および技術的に実現可能な新しい政策が手の届くところにあるとしています。
今回のモーニングセミナー(第112回)では、同報告書の主任執筆者であるムトゥマラ・マニ世界銀行南アジア地域チーフエコノミスト室リードエコノミストが、オンラインで日本の皆様に向けて同報告書の主なポイントをご紹介しました。
日時
2021年7月9日(金)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー

世界銀行 南アジア地域総局 チーフエコノミスト室 リードエコノミスト
南アジア地域における気候変動の緩和・適応、水、環境問題に関する調査分析業務を担当。それ以前は、環境グローバルプラクティス上級環境エコノミストとして、開発政策改革の環境面での影響に関する分析に従事。国別環境評価、自然資源管理、環境と制度・ガバナンス、貿易と気候変動などにも携わってきた。世界銀行入行前は、国際通貨基金(IMF)財政局エコノミストとして、マクロ経済政策の環境面の影響分析、国別プログラムへの環境配慮の統合などに従事。メリーランド大学で経済学博士号および経済学修士号を取得。
発表資料
Glaciers of Himalayas(英語、PDF)
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