世界銀行の各地域総局では半年に1度(春と秋)、地域内の経済概況と展望をまとめた半期経済報告を発表しています。このうち東アジア・大洋州地域総局は2021年3月25日、「東アジア・大洋州地域 半期経済報告書:不均衡な回復」(East Asia and Pacific Economic Update, April 2021: Uneven Recovery)を発表しました。同報告書では、新型コロナウイルス感染症の世界的流行から1年以上が経ち、東アジア・大洋州地域(EAP)の途上国では回復に大きなばらつきが見られると指摘しています。V字回復が進んでいるのは中国とベトナムだけで、経済活動は危機以前の水準を既に上回っており、その他の主要国の経済成長率は危機以前の水準を平均約5%下回る状況が続いています。特に深刻な打撃を受けたのは太平洋島嶼国で、ウイルス封じ込めの効果、国際貿易の再開を生かせるか、そして政府が財政・金融面で効果的な支援を打ち出せるかが景気動向を左右してきました。2020年、域内の貧困層減少が数十年ぶりに止まり、今回の危機により、域内では推定3,200万人が貧困(1日5.50ドルの貧困ライン)から抜け出すことができませんでした。
今回のモーニングセミナー(第98回)では、同報告書の執筆を主導したエルギス・イスラマジ世界銀行東アジア・太平洋地域担当チーフエコノミスト室上級エコノミストが、ワシントンより日本の皆様向けにライブストリーミングで同報告書の主なポイントをご紹介しました。
日時
2021年4月2日(金)午前8時~午前9時(日本時間)
スピーカー
世界銀行 東アジア・大洋州地域担当チーフエコノミスト室 上級エコノミスト
「東アジア・大洋州地域半期報告書」の執筆を主導。新興・途上国が直面する課題に関連する政策に焦点を当てた国際金融およびマクロ経済学に関する研究に従事してきた。ヴァッサー大学助教授を経て、2015年、世界銀行入行。開発経済総局(DEC)エコノミストを経て、2018年より現職。ジョージタウン大学で博士号を取得。
当日の資料: EAP Economic Update, April 2021 Uneven Recovery(英語、PDF)
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