新型コロナウイルス感染症の世界的流行と、この感染症を封じ込めるために実施された経済活動の停止措置により、世界経済は短期間のうちに甚大なショックを受け、深刻な景気後退に陥りました。世界銀行は2020年6月8日、新報告書「世界経済見通し(GEP)2020年6月版」(Global Economic Prospects, June 2020 Edition)を発表し、2020年の世界経済成長率は5.2%減になるとの予測を公表しました。これは第二次世界大戦以来最悪の景気後退であり、1870年以降、最も多くの国で1人当たり生産量が減少します。先進国では国内の需給、貿易、金融が大きく混乱したことにより、2020年の経済活動は7%縮小するとみられており、新興国・途上国でも、経済活動は2.5%縮小すると見込まれています。新興国・途上国の経済成長率が低下するのは少なくとも過去60年間では初で、国民1人当たり所得は3.6%減少し、2020年に数百万人が極度の貧困に陥るとみられています。
今回のセミナー(モーニングセミナー第67回)では、同報告書をとりまとめたアイハン・コーゼ世界銀行マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス見通し局長が、日本の皆様に対してワシントンよりオンラインで同報告書の主なポイントをご説明しました。
内容
挨拶
宮崎成人
世界銀行 駐日特別代表
講演
アイハン・コーゼ
世界銀行 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 開発見通し局長
菅原直剛
世界銀行 マクロ経済・貿易・投資グローバルプラクティス 上級エコノミスト
討論
植田健一
東京大学 大学院経済学研究科 准教授
河野龍太郎
BNPパリバ証券 経済調査本部長・チーフエコノミスト
スピーカー
世界銀行グループの見通し局長として、マクロ経済見通し・予想、金融フロー、商品市場に関する分析業務をとりまとめ、貧困撲滅と繁栄の共有の促進という世界銀行グループの2つの目標のモニタリングも主導。世界銀行の旗艦報告書である『世界経済見通し』(Global Economic Prospects)、『グローバル・モニタリング・レポート』(Global Monitoring Report)などの経済モニタリング報告の作成を統括。2014年6月の世界銀行入行前は国際通貨基金(IMF)に所属しており、調査局次長兼多数国間サーベイランス部次長、2014年版スピルオーバー報告書タスクフォース共同議長、ニカラグア2007~11年IMFプログラム事後評価担当チーフ、西半球局米国・カナダ担当デスク。シカゴ大学経営学大学院とINSEADで教鞭をとり、ブランダイズ大学国際経営学大学院助教授を歴任。マクロ経済・国際金融に関する著作多数。アイオワ大学経営学大学院経済学博士号、ビルケント大学産業工学士号を取得。トルコ出身。 |
当日の資料:Global Economic Prospects June 2020(英語、PDF)
報告書はこちらからダウンロードできます。