キルギス共和国は、同国オシュ州に多大なる被害をもたらしたマグニチュード6. 6の地震発生からちょうど10年にあたる2018年10月5日を、「潜伏」状態の災害のリスクについて国民の注意を喚起し、国をあげて次の災害への備えについて確認する国家防災の日と制定しました。
国家防災の日のプログラムの一環として、「防災分野における革新的アプローチ」と題したカンファレンスが、キルギス共和国緊急事態省、世界銀行、世界保健機関、赤十字社、国際連合児童基金の共催によってキルギス共和国の首都ビシュケクにて開催されました。
カンファレンスでは先ず、キルギス共和国における災害リスク削減の進展についてキルギス共和国緊急事態省が発表をしました。それに続き、同国における防災力の更なる向上に向けた議論の促進として、東京防災ハブの支援を通じ、日本のニュートンコンサルティング(株)より山田真司氏と船津佑太氏が特に情報通信技術(ICT)に係る事業継続計画(BCP)による防災レジリエンスの向上に関して、日本の経験を踏まえた知見について講演しました。
ニュートンコンサルティング(株)は、日本の内閣官房、内閣府、消防庁をはじめとした政府機関や地方自治体に対して自然災害やパンデミック、テロ等に対する危機管理計画の策定、訓練の実施支援を行ってきており、これらの支援を通じて得られた教訓について講演の中で紹介しました。講演では、これまでの支援実績を踏まえ、日本におけるICT-BCPの発展の歴史について紹介が行われた後、中央・地方政府それぞれにおいて必要なICT-BCPの主要事項、そして有効かつ持続的なICT-BCPの策定・実施に必要なプロセスについても発表されました。キルギス共和国におけるBCPの策定において、日本の経験から得られた教訓として、特に1) 集中と選択の必要性 – 本当にやるべき活動を定めるとともに、「今やらなくてもよい」活動も定める、2) ICTのためのBCPとICTによるBCPの両側面からICT-BCPを策定・実施することの重要性、3) BCPの実効性を高めるための教育・訓練、持続性を高めるための評価・更新プロセスの継続的な取り組みの必要性について強調されました。
当カンファレンスは、政府における意思決定者及びその他関係者に対して、防災計画の策定や実施における重要事項を確認・共有する貴重な機会となり、当カンファレンスを通じて築かれた協力関係は、今後のキルギス共和国と日本国内外の専門家とのコラボレーションの可能性を広げるきっかけとなりました。