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第17回防災セミナー「防災に関する国際協力機構と世界銀行の連携:南アジア地域における取り組み」写真:ラクシュマン・ナダラジャ / 世界銀行
第17回防災セミナー「防災に関する国際協力機構と世界銀行の連携:南アジア地域における取り組み」
2016年12月9日東京


防災セミナー・シリーズ:世界銀行東京事務所、世界銀行東京防災ハブ、国際協力機構 共催

南アジアは、地震、洪水、地すべりなど、多様な自然災害リスクにさらされています。南アジア各国政府や人々は、国際協力機構 (JICA)、世界銀行他、開発パートナーと協力し、適切な政策や投資を通してリスク要因に対応しています。また、災害に対しより強靭なインフラの構築、様々な手法、データ、研修等を活用した関係機関の能力強化による人々の安全性の向上、災害後のより良い復興にも努めています。

途上国による将来起こり得る災害への備えや近年の災害後の復興事業に関し、JICAと世界銀行が協力して事業を進めることは、最適な効果を生み出すうえで、ますますその重要性が増しています。たとえば、ダッカにおける建築規制が適切かつ確実に適用される体制を共同で推進したり、スリランカにおける水文気象サービス向上のために政府機関をまたがって制度政策が統合されるよう支援したり、ネパールの住宅再建事業を確実に進めるため透明性や説明性、また強靭性を高めるために技術的に協力するといったことなど、協力は多岐にわたります。

本セミナーでは、各国で取り入れてきたアプローチ、災害への強靭性構築の進展、ならびにより多くの国々でこうしたパートナーシップを築く機会について議論します。

 

プログラム

開会挨拶

塚越 保祐
世界銀行グループ 駐日特別代表

基調講演

フランシス・ゲスキエール
世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 事務局長
「災害に対する強靭性強化の大規模な取り組み:グローバル・トレンド、新たな機会、日本とのパートナーシップ」PDF (英語)

山内 邦裕
国際協力機構 地球環境部 部長
「南アジアの防災セクターにおけるJICAの支援」PDF (英語)

講演

横井 博行
国際協力機構 南アジア部 南アジア第四課 主任調査役
マーク・フォーニー
世界銀行 南アジア地域コーディネーター / 社会・都市・農村・強靭性グローバルプラクティス 上席防災専門官
「防災セクターにおける開発支援の効果を最大限に高める:バングラデシュとネパールの事例研究から」PDF (英語)

モデレーター

ジェームズ・ニューマン
世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 東京防災ハブ 防災専門官

 

(敬称略)

❖ このセミナーは公開用に録画されます。

スピーカー紹介

 


Image塚越 保祐
世界銀行グループ 駐日特別代表

2013年8月現職に就任。日本の政府、CSO、企業、研究機関等と世界銀行との協力関係強化を使命とする。就任以来、世界銀行東京事務所内に設置された東京防災ハブの設立にも参画。現職就任前、2008-2011年には米州開発銀行理事として同行の融資案件の審議と政策決定に関与。1988-1991年にはアフリカ開発銀行理事としてコートジボワールに駐在。また、1994-1998年には国際金融情報センター・ワシントン事務所長として米国の政策決定過程等につき調査。1980年4月大蔵省 (現:財務省) に入省。

 

Imageフランシス・ゲスキエール
世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 事務局長

世界銀行が主導し70カ国以上で防災プログラムを実施する信託基金、防災グローバル・ファシリティ (GFDRR) 事務局長。開発戦略およびプログラムにおける災害リスク管理を主流化するための政策や手法に関する豊富な知識と経験を有する。ラテンアメリカ・カリブ海地域および南アジアにおける世界銀行による災害リスク管理オペレーションの構築を10年以上にわたり指揮。カリブ海災害リスク保険ファシリティ (CCRIF)、中央アメリカ確率論的リスク・モデリング・イニシアチブ、アンダスタンディング・リスク・フォーラム等、重要なイニシアチブを牽引。災害危機繰延引出オプション (CAT-DDO) およびコンティンジェンシー・コンポーネントなどの、世界銀行による緊急支援や緊急融資を加速させる新たな政策立案においても重要な役割を果たす。ハーバード大学ケネディ行政大学院にて修士号取得、ルーヴェン大学にて工学学士取得、ニューヨーク大学、バルセロナのESADEビジネス・スクール、パリのアッシュ・ウ・セにて、経営学、経済学を修了。

 

Image山内 邦裕
国際協力機構 地球環境部 部長

1986年国際協力事業団 (現:国際協力機構 JICA) に入団以来、インフラ・環境分野を含む開発プロジェクトの形成・実施監理になどに従事。1998年から2001年までアジア開発銀行で環境専門官として勤務。2007年から2011年まで事務所長としてガーナへ赴任。帰国後、地球環境部審議役、企画部審議役を経て、2015年4月より現職。

 

Image横井 博行
国際協力機構 南アジア部 南アジア第四課 主任調査役

2005年に国際協力機構 (JICA) 入構以来、国際緊急援助隊事務局、経済基盤開発部、カンボジア事務所を経て、2014年4月より現職。バングラデシュでは「都市建物安全化事業」を世界銀行と連携して形成、またネパールでは2015年のネパール地震後「緊急住宅復興事業」を世界銀行と主導。2014年4月より現職。

 

Imageマーク・フォーニー
世界銀行 南アジア地域コーディネーター / 社会・都市・農村・強靭性グローバルプラクティス 上席防災専門官

2003年に世界銀行入行後、ラテンアメリカおよびカリブ海地域の災害リスク管理に携わる。投資銀行にて従事後、2011年に世界銀行に再入行。南アジア地域コーディネーターとして、プロジェクトを推進。バングラデシュとスリランカで災害への強靭化のための世界銀行投資をけん引、また、2015年のゴルカ地震後の住宅再建事業の指揮をとる。

 

Imageジェームズ・ニューマン
世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 東京防災ハブ 防災専門官

2013年世界銀行入行。以降、防災グローバル・ファシリティ (GFDRR) の業務計画全般に携わるとともに、南アジア地域および東アジア・大洋州地域における強靭な都市づくりや地域ポートフォリオ業務を担当。また、世界銀行の都市強靭性診断や、強靭な都市づくりに関するメデジン・コラボレーションの開発に貢献する。インド、ネパール、南アフリカ、ベトナムにおける災害後リスク評価を含む世界銀行のプロジェクトや技術支援にも従事。入行前は、ボルチモア市の10か年財務計画、リスク管理、シティスタット業績管理、オープン・データ業務に携わるともに、副調達官代理を務める。チリ共和国の市場調査組織では、ラテンアメリカ・カリブ海地域の金融と保険を担当。経済学と公共政策学を専門とし、ワシントン大学にて学士号取得後、ジョージタウン大学大学院と、チリ共和国サンティアゴ市にあるアルベルト・ウルタド大学大学院修了。非常勤教授としてボルチモア大学大学院 行政学修士プログラムの公共政策学および統計学の教鞭をとる。

 

(講演順、敬称略)

セミナー概要

 

 

 

Image
 

第17回防災セミナーでは、災害への強靱性を高めるために必要な事柄について、また強靱性を高めるうえで協力体制を取ることの重要性について、国際協力機構(JICA)と世界銀行の見解が発表されました。南アジアの現場における、JICAと世界銀行の協力事業の事例が取り上げられ、バングラデシュで都市の強靱性を高めるための民間および公的部門の取り組みが、JICAと世界銀行の協力事業により前進した例や、ネパールで震災復興にJICAと世界銀行が協力して支援を行った例が、紹介されました。

JICAと世界銀行の担当者からは、意義のある変化をもたらすために、各組織が充分なリソースを提供する意識を共有し、各組織の方針が内包するメッセージを丁寧にすり合わせ、お互いの技術を活かしあう、パートナーシップのモデルが提案されました。

傾向、機会とパートナーシップ

フランシス・ゲスキエール 世界銀行 防災グローバル・ファシリティ 事務局長は、都市化、人口増加、環境劣化、気候変動が主因となって、災害リスクは増大する一方であると指摘しました。JICAをはじめとする開発パートナーは、途上国に対して直接支援も行っていますが、それにとどまらず、災害への強靱性を高めることが重要であるという新たな視点も、各国の政策決定者に向けて発信しています。近年に発行された世界銀行の報告書「防災と貧困削減 自然災害に立ち向かう貧困層のレジリエンス構築」と「Triple Dividend of Resilience(強靱性がもたらす3重の配当)」では、さまざまな政策の選択肢に関する深い考察や、災害への強靱性を高めておくことの利点が解説されています。報告書では分析を通じ、今後進むべき道も示しています。強靱なインフラの構築、都市の強靱性を高めること、適応可能な社会保護の提供、包摂的なコミュニティーの強靱性を高めることが、開発協力において主要な分野になると考えられます。

山内邦裕 国際協力機構(JICA) 地球環境部 部長は、日本政府の世界銀行との協力体制において、防災が中核となってきていると述べました。そのため JICAは、途上国が仙台防災枠組で期待されている成果を達成できるよう、支援を行っていると述べました。実際、過去20年にわたり、日本と世界銀行は災害への強靱性構築において、世界で最も多額の拠出を行っています。日本では、たとえば災害関連の法制度は緻密に整備されており、災害の監視・警報システムは信頼性が高く、インフラは強靱性を考慮して設計・運営されています。さらに一般の防災意識も高いなど、防災に関して、また災害時のリスク削減において、知識と経験が培われています。こうした日本の知見が、途上国が革新的な取り組みを理解し実施するうえで、活かされています。

南アジアにおける、JICAと世界銀行のパートナーシップ

日本と同じく、南アジアもさまざまな自然災害、なかでも地震と暴風雨に多く直面しています。南アジアが日本と異なるのは、災害リスクによって生産的な社会資本/ソーシャル・キャピタルの成長が阻害されている点であると、山内部長は国連防災事務局(UNSIDR)世界防災白書 2015のデータを元に指摘しました。災害に対する強靱性を高めるために協調投資を行うことは、このような悪循環を断つために有効と期待されます。その際、世界銀行とJICAの支援が非常に重要になると思われます。

災害に対する強靱性を高めるうえで、南アジアにおいてJICAと世界銀行の協力事業がいかに機能しているか、ネパールとバングラデシュにおける共同事業を例に挙げて、議論がなされました。最近では、2015年4月に発生したネパール地震で、世界銀行とJICAは迅速に対応し、住宅再建事業の立ち上げに協力しました。この事業では、 国際的な建築基準に適合した災害に強い住宅を建設するために、経済支援と技術支援が提供されました。バングラデシュでは、構造物支援や緊急対応も含め、都市の強靱性を高めるために政府が行っている主要な投資を、JICAと世界銀行が支援しています。

「我々の目標は、、増大する途上国の災害リスクに対応するためにバングラデシュでの事業をもとに共同事業をモデル化し、より多くのプロジェクトに活かしていくことです」
横井 博行 国際協力機構 南アジア部 南アジア第四課 主任調査役

2014年以来、JICAと世界銀行はパートナーシップを深め、共同事業のスムーズな運営を確立する目的で、3度にわたるハイレベル会合を行っています。災害に対する強靱化は、両組織に共通する強みであり、両組織がさらに成長できる分野でもあります。担当者レベルでは、JICAと世界銀行のどちらの組織においても、リーダーシップ、技術の相互補完、共同融資を中心としたこの協力モデルが、世界の他地域でも機能するように、協力を進めようとしているところです。



イベント詳細
  • 日時: 2016年12月9日 (金) 午後4時30分~午後6時
  • 場所: 世界銀行東京事務所 東京都千代田区内幸町2-2-2 富国生命ビル10階
  • 言語: 英語・日本語 (同時通訳付)
  • お問合せ: 世界銀行東京防災ハブ TEL: 03-3597-1320
  • drmhubtokyo@worldbank.org


日本-世界銀行防災共同プログラム





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