現在、世界人口のうち、54パーセントにあたる39億人が都市部に居住しており、国内総生産(GDP)の65パーセントを占めています。しかし、近年都市化が急速に進み、都市部での貧困が懸念されています。約8億6300万人が、基礎サービスのないスラムなどで生活し、都市部における生活困窮者への支援が喫緊の課題となっています。
拡大する都市部における社会的弱者への支援は、これまで取り上げられてこなかった新しい課題であり、社会的保護プログラムを都市特有の状況に即して実施するにあたり、各国で異なった方法が取られています。初期のプログラムから得られた経験からは、都市が拡大する状況下での貧困層保護が従来の社会的保護とは異なり複雑であること、またプログラムの導入とスケールアップにあたって様々な手法が存在することがわかっています。
このたびアループ・バネルジ世界銀行グループ 社会的保護&労働グローバルプラクティス シニアディレクターの来日にあたり、急速に進む都市部への人口集中という状況の中で新たに取り組まれている社会保護プログラムをご説明し、ニーズ調査、情報システム構築、現金給付の手法等について、ルーマニア、ペルー、ベナンでの支援を例を挙げながらご説明するセミナーを開催します。
プログラム
開会挨拶
塚越保祐 世界銀行駐日特別代表
講演
アループ・バネルジ 世界銀行グループ 社会的保護&労働グローバルプラクティス シニアディレクター
当日の資料:Stability, Ability and Equity Social Risk Management in the Urban Context (PDF)
事例紹介
フィリップ・ジョージ・レイテ 上級社会的保護エコノミスト
「都市部での社会的保護:ルーマニア、ペルー、ベナンでのニーズ調査、情報システム構築、支払に関する仕組みと要点」
当日の資料:Social Risk Management Systems in Urban Areas: From Strategy to Delivery (PDF)
松田康彦 上席公共セクター専門官
「資金調達と支援モデル:ブラジル、インドネシア、ナイジェリアの事例から」
当日の資料:Urban Poverty and Local Governance: Institutional and Financial Implications (PDF)
スピーカー略歴
アループ・バネルジ 世界銀行グループ 社会的保護&労働グローバルプラクティス シニアディレクター |
1994年、世界銀行入行。欧州中央アジア総局シニアエコノミスト(雇用・労働市場・社会的保護・公的セクター改革等を担当)、独立評価局シニアアドバイサー、人間開発ネットワーク総局社会的保護担当局長等を経て2014年7月より現職。労働市場、社会的保護、年金、障碍者問題等に関する戦略策定やナレッジ業務を監督。2015年10月1日より、クロスカッティング・ソリューション・エリアのうち、「雇用」グループも管轄。労働経済研究所(ドイツ)リサーチフェロー、世界経済フォーラム・ユース雇用委員会委員なども兼任。入行前は、米国ウィリアム大学開発経済センターで教鞭を取る。米国ペンシルバニア大学で経済学の博士号および修士号を取得。