世界銀行は、今年1月に発表した報告書の中で、エボラ出血熱の大流行は、ギニア、リベリア、シエラレオネで感染率が大きく低下したものの、今後も3カ国の経済に深刻な打撃を与え続け、2015年、エボラ出血熱による損失額は、16億ドル以上になると予想しています。世界銀行グループは、エボラ危機により最も深刻な影響を受けている国々に対し、これまで約10億ドルの支援パッケージを決定し、治療とケア、感染拡大の封じ込めと予防、公衆衛生システム向上等への支援を行っています。また、世界銀行グループは、新たに「世銀エボラ復旧復興信託基金(ERRTF)」を設立し、喫緊かつ増大しつつある経済、社会的影響を緩和するだけでなく、将来の感染症を予防するための保健システムの再構築等の中長期的な支援を通じて、3カ国の人々の経済・生活基盤の再建を支援しています。
深刻な被害を受けているリベリアでは、日本政府とのパートナーシップのもと、エボラ出血熱により心理的な影響を受けた個人およびコミュニティのメンタルヘルスを改善するため、日本社会開発基金(JSDF)プロジェクト「リベリア・エボラ危機へのコミュニティベースでの社会心理的支援」を実施します。同プロジェクトでは、国内でも最も深刻な状況にあるコミュニティで、小児精神保健専門家(CMHC)を学校に派遣するという新たな仕組みを作るほか、心理社会的ケア提供とソーシャルワーカーや心理社会カウンセラーのキャパシティ・ビルディングが行われる予定です。
本セミナーでは、リベリアとテレビ会議で接続し、エボラ出血熱による経済影響、世銀エボラ復旧復興信託基金を通じた今後の取組み、JSDFプロジェクトの概要およびこれらを通じて期待される成果をご紹介いたします。
プログラム
開会挨拶
財務省、外務省
挨拶
ヤンゴー・セベリー・テレウォダ リベリア共和国特命全権大使閣下(予定)
講演
「エボラ出血熱に対する世銀の支援とリベリアにおける経済状況」
イングナ・ドブラジャ世界銀行リベリア事務所カントリー・マネージャー
(リベリアからテレビ会議で参加)
「リベリア・エボラ危機へのコミュニティベースでの社会心理的支援」
サラ・マクーン世界銀行コンサルタント
(リベリアからテレビ会議で参加)
当日の資料(PDF)
「リベリアにおけるエボラ対策支援活動から」
加藤康幸 独立行政法人国立国際医療研究センター国際感染症対策室医長
質疑応答
閉会挨拶
塚越保祐 世界銀行駐日特別代表
日本社会開発基金 (JSDF)
2000年6月、日本政府と世界銀行は、他のプログラムの対象となっていない最貧困層や最脆弱層を支援し、生活水準を改善するコミュニティ主導型開発や貧困削減プロジェクトにグラントを提供する日本社会開発基金(JSDF)を設立しました。日本政府はJSDFを通じ、2014年6月までに300件以上の社会開発プログラムやプロジェクトを支援しています。