世界銀行は、日本社会開発基金(JSDF)対話シリーズの第8回目として、2013年7月から開始されたバングラデシュにおけるJSDFプロジェクト「バングラデシュ人出稼ぎ労働者の安全確保」について、プロジェクトの概要、受益者の声を直接紹介するセミナーを開催しました。これまでの対話シリーズと同様、世界銀行のプロジェクト担当者とともに、実施機関のバングラデシュに拠点を置く世界最大NGOであるBRACが、プロジェクト対象地からプロジェクトの受益者と共にビデオ会議で参加し、プロジェクト実施に当たっての成功点と課題をご紹介しました。
「バングラデシュ人出稼ぎ労働者の安全確保」プロジェクトは、80の郡で、出稼ぎ労働者とその家族の脆弱性軽減を目指すもので、そのために、1.安全な移住のための正確でタイムリーな情報とサービスへのアクセス改善、2.コミュニティ単位の組織(CBO)の設置・強化による出稼ぎ仲介者への依存軽減、を図っています。プロジェクトの主要な受益者は、国外に出稼ぎに行く可能性のある、高い技術を持たない貧困層86万4,000人の潜在的移住者とその家族に対するトレーニングとオリエンテーション・プログラムの実施を目標としています。
バングラデシュ政府もまた、国外在住者福祉と国外雇用を担当する省を通じ、同プロジェクトに大きな関心を寄せています。バングラデシュでは、移住者にまつわる問題が頻繁に報道され、政府が行動を起こすよう国民の要求が高まるなど、出稼ぎ労働者の安全確保がますます重要な問題となっています。同プロジェクトの下、NGOや相手国政府との協力関係を通じて相手国における外国人の雇用の見通しや規則・規定について重要な情報が提供され、プロセス全体の透明性が高まりつつあります。同プロジェクトは、安全な移住サービスを提供するために地方や全国的なネットワークを活用する例として、政府機関により全国的に展開することも検討されています。