概要
2006年05月30日、世界銀行国会議員連盟日本支部の2006年度総会が開かれました。 若林事務局長より 2005年度活動実績及び決算についての報告、2006年度の活動計画案などについて提案がなされた後、高村会長より「今日は、世界の貧困削減にどうのように対処していくかという世界銀行の開発戦略について、ウォルフォウィッツ 世界銀行総裁にお話を伺いたいと思います。」 と御挨拶がありました。
その後、ABCDE東京会合のため来日中のウォルフォウィッツ総裁より、「世界には、未だ12億人もの人々が極貧の生活に苦しんでいます。他方、アジアにおいては、過去25年間、貧困削減に目覚しい改善が見られました。日本をはじめとする東アジアの国々が経済成長を遂げるに至った背景には、インフラが大きな役割を果たしてきた実績があると思われます。その意味において、今回、ABCDEが日本で開催されることとなりましたことは、当を得ております。10~15年前までは、インフラの投資は、民間が引き継ぐことができると推測されておりましたが、97年をピークにその後は半減しています。このような現状を考えますと、官民パートナーシップの可能性を探りながらも、世銀が「インフラ行動計画」の下、インフラ向け貸付けを増大させることは重要と考えます。
また、世界銀行の最優先課題の一つは、サハラ以南アフリカ向け支援です。同地域は、過去25年間、経済成長の進捗が悪く、人口6億人のうち約半数が極貧状態にあるという容認できない状況下に置かれておりますが、宗主国でもなければ武器の輸出国でもない日本は、この地域において特別な役割を果たせると私は思うのです。」とのスピーチがありました。
その後、1. アフリカにおけるインフラ整備の手法、2. インフラに関する過去の教訓とは何か、3. 援助効果を高めるための世界銀行からの情報提供、4. 農業補助金等について、国会議員の方々からの質疑に対し、ウォルフォウィッツ総裁から以下のような応答がなされました。
「アフリカのインフラ整備についてですが、現在多くの課題があります。特にサハラ以南アフリカは地理的に小国が多く、隣国を通らずには、海や市場にアクセスできないといった問題があり、地域インフラの整備が不可欠との認識が深まっております。そのため、NEPAD(アフリカ開発のための新パートナーシップ、New Economic Plan for African Development)を通じた取組みが実施されているところであります。
これまで、日本と世界銀行は、良好な協力関係にありますので、アフリカに関する我々の知識を共有するのが望ましいとの御指摘は仰る通りと思います。アフリカのほとんどの国に世銀の事務所がございますので、我々の持つその経験を貴国と分かち合うこと、及び過去15-20年間、東アジアにおいて開発共同プログラムを貴国との間で成し遂げてきた実績を考えると、貴国から多くを学べることは大変喜ばしいことと思います。
また、農業に関しまして、開発コミュニティーはその関心をかなり減退させており、過去10年の農業人口は、半減しております。農業は、我々がもっと何かできる分野であり、貴国はこの分野においては多くの専門性を有しているため、日本との協働で何かできるものと確信しております。」
その他、意見交換がなされ、閉会しました。
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