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BRIEF

よくあるご質問(FAQs): 国際貧困ラインの改定について

2019年11月13日

国際貧困ライン、2015年10月以降は1.90ドルに改定

【仮訳】
世界銀行が国際貧困ラインを改定すると決めたのはなぜですか?また、なぜ今なのですか?


生活に要するコストは世界中で変動しています。そのため国際貧困ラインは、そうした変化を反映させるため定期的に改定する必要があります。2008年に行われた前回の改定以降、1.25ドルが国際貧困ラインとされてきましたが、2015年10月以降は1.90ドルに改定されます。

新しい貧困ラインを教えてください。また、この新基準を用いると、極度の貧困層は現在どのぐらいの数になりますか?

新国際貧困ラインは、2011年の物価を基に1.90ドルに設定されています。2012年の時点でこの水準未満の人は(入手可能な最新のデータに基づくと)9億人強でしたが、2015年には極度の貧困層は7億人強と推定されています。

貧困ラインを引き上げるのはなぜですか?これまで広く使われてきてなじみのある1日1.25ドルではどうしてだめなのですか?

生活に要するコストは世界中で変動しています。そのため国際貧困ラインは、そうした変化を反映させるため定期的に改定する必要があります。新国際貧困ラインは、基本的な衣食住のニーズにかかるコストをより正確に示す世界各地の最新の物価データを基にしています。つまり、今日の1.90ドルは、2005年の1.25ドルと同じ実質価値があるということです。

過去の試算にはどんな影響がありますか?

以前の試算にも遡って新基準を当てはめ、過去25年間の貧困削減の傾向を探りました。その結果、新基準でもやはり、1990年以降、貧困削減は目覚ましく進展していると言えます。とは言え、貧困は受け入れがたいレベルで残っており、今後も人々が貧困から脱却し続けることができるよう、さらに力を注ぐ必要があります。

国際貧困ラインはどのように設定するのですか?

まず、国別貧困ラインを確認します。その国でそれ以下だと、最低限の栄養、衣類、住まいのニーズが満たされなくなるというレベルが、国別貧困ラインです。当然ながら、裕福な国ほど貧困ラインは高く、貧しい国ほど低くなる傾向にあります。

ですが、世界全体の極度の貧困層の数を把握するためには、ただ単に各国の貧困層の数を足せば良いわけではありません。貧困層を定義する基準が国によってそれぞれ異なるからです。そのため、全ての国の貧困層を同じ基準で測定する貧困ラインが必要になります。

1990年、独立した研究者のグループと世界銀行は、世界の貧困層の数を把握するため、最貧国の基準を用いた測定法を提案しました。まず最貧国数カ国の国別貧困ラインを検証し、それを購買力平価(PPP)を用いて共通の通貨価値に 換算するという方法です。PPPとは、ある国である価格で買える商品やサービスが他の国ならいくらで買えるかを示す換算レートです。 共通の通貨に転換すると、これらの最貧国の内6カ国における国別貧困ラインが1人当たり1日約1ドルになることが分かり、これが最初の国際貧困ラインである1日1ドルの根拠となりました。

2005年、各国間の物価に関する比較可能なデータがより多く集められ再度検討が行われた結果、国際貧困ラインは、世界の最貧国の内15カ国の国別貧困ラインを基に改定されました。これら15の国別貧困ラインを平均すると、1人当たり1日1.25ドル(前回同様PPPベース)となり、これが改定後の新たな世界貧困ラインとなりました。

そして今年再び、2005年と同じ15の最貧国の国別貧困ラインを用いて(つまり測定基準を変えずに)、1.90ドル(2011年のPPPベース)という新国際貧困ラインへの改定を決定しました。

購買力平価(PPP)とは何ですか?どのようにして決定されるのですか?

PPPを使うと、各国の所得や消費のデータをグローバルに比較できる数字に転換することが可能です。PPPは、世界各国の物価データを基に割り出されます。その年のPPPを決定する責任は、国際比較プログラム(ICP)が担います。ICPは独立した統計プログラムであり、世界銀行の開発データ・グループの中にICPグローバル・オフィスが設けられています。

我が国のプログラムや政策を策定する際、改定後の新貧困ラインを使うべきですか?

世界全体の極度の貧困率は、新PPPと新貧困ラインの採用後も大きくは変わらないかもしれませんが、一部の地域別/国別の割合は大きく上下するかもしれません。

しかし、本来国際貧困ラインとは主に、世界の最貧層を把握し、世界銀行や国連をはじめとする開発パートナーが設定した国際目標に向けた進捗状況を測定するために使われるものである事に留意すべきです。他方、国別貧困ラインは、政策対話の土台として、また最貧困層に的を絞ったプログラムを行う際に、はるかに適切です。例えば、貧困ラインが1日4ドルに設定されている中所得国にとって国際貧困ラインは、国別貧困ラインが1.65ドル足らずの貧困国が受け止めるほどの意味を持たないかもしれません。

金銭面に注目しすぎていませんか?貧困のほかの側面はどうなるのですか?

教育、保健、衛生、水、電気など、金銭面以外の指標も数多く存在します。いずれも、貧困の現実である数多くの側面を理解するために、この上なく重要です。

こうした指標は、貧困の金銭面の指標を補足するという大きな役割を果たしており、貧困層の暮らしを効果的に改善するために重要な意味を持ちます。

国際貧困ラインは現在、貧困のこうした様々な側面を考慮に入れていません。ただし、先ごろ設置された国際貧困委員会では現在、貧困の測定・理解の方法と、今後いかに改善すべきかが検討されています。世界銀行は、同委員会から2016年4月に提言を受け取る予定です。

世界銀行が2030年までに極度の貧困を3%(またはそれ以下)まで削減するという目標を達成することは、新基準の下でも可能ですか?

可能です。ただし、簡単ではないでしょう。グローバル経済の成長が鈍化する中、極度の貧困から脱却し、更に上を目指すことは、これまで以上に困難になるでしょう。2030年までに極度の貧困を撲滅するために、各国には、慎重な政策判断が求められます。そうした政策を通じ、より包摂的な成長をもたらすこと、最貧困層に恩恵をもたらす教育、保健、清潔な水、衛生、インフラ効率化への投資を優先すること、ようやく手に入れた様々な進歩や資産を守り、干ばつや病気、経済的ショックに対しても再び貧困に陥らなくてすむようにしなければなりません。

国際貧困ラインの次の改定はいつになりますか?

貧困の測定方法と国際貧困ラインの設定・改定の方法やその時期については、2016年4月に国際貧困委員会の提言を受けてから改めて検討する予定です。

 


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