セミナーの冒頭、塚越保祐・世界銀行グループ駐日特別代表が主催者を代表して挨拶を述べた後、アフリカ外交団を代表して、サミール・アルール駐日モロッコ王国大使(アフリカ外交団貿易・投資委員長)からご挨拶をいただきました。続いて、ハレ・ブリディ世界銀行アフリカ地域総局対外関係・パートナーシップ担当局長が基調講演を行いました。
アフリカの過去10年に及ぶ経済成長は、アフリカの将来について明るい希望をもたらしてきました。世界銀行の最新報告書「世界経済見通し(GEP)」では、世界経済の減速と商品市場ブームの終焉により、2015年の経済成長は4.2%に減速し、2016年にはそれを若干上回る水準と予測されています。アフリカ大陸は引き続き、経済成長の持続と貧困の撲滅が優先課題であり、気候変動や感染症などの様々なリスクにも直面しています。他方、アフリカ大陸は開発援助の受け手としてだけでなく、投資先として見られるようになってきているなど、可能性も秘めています。こうした中、世界銀行と日本政府は、TICAD(アフリカ開発会議)プロセスをはじめ、アフリカの開発支援のために様々な形で協力してきました。
ブリディ局長が持続可能な経済成長と開発のためのアフリカの可能性、アフリカが直面する様々な課題などについて講演を行った後、平野克己・ジェトロアジア経済研究所地域研究センター上席主任調査研究員からコメントを頂き、参加者の皆様との質疑応答を行いました。
プログラム:
挨拶
塚越保祐 世界銀行グループ 駐日特別代表
サミール・アルール 駐日モロッコ王国大使(アフリカ外交団 貿易・投資委員長)
講演
ハレ・ブリディ
世界銀行 アフリカ地域総局 対外関係・パートナーシップ担当局長
1991年、世界銀行入行。アフリカ地域総局業務サービス部コンサルタント、アフリカ地域総局・インド洋諸国担当局長、中東・北アフリカ地域総局対外関係・パートナーシップ担当局長、国際金融公社(IFC)アドバイザリー・サービス担当局長を歴任。世界銀行入行以前は10年間、石油輸出国機構(OPEC)国際開発基金でアフリカ地域フランス語圏を担当。イラン国籍。ヨーロッパ、米国、アフリカなどに駐在経験をもつ。米国ワシントンDCのアメリカン大学国際関係大学院で国際関係修士号取得。
コメント
平野克己
ジェトロ・アジア経済研究所 地域研究センター 上席主任調査研究員
在ジンバブエ日本大使館専門調査員、笹川平和財団を経て1991年、アジア経済研究所入所。在ヨハネスブルグ海外調査員、アフリカ研究グループ長、ジェトロ・ヨハネスブルグセンター所長、地域研究センター長を歴任。聖心女子大学、東京大学、立教大学で教鞭をとる。『図説アフリカ経済』で国際開発研究大来賞受賞。笹川アフリカ協会理事、『フォーサイト』「アフリカの部屋」運営者、地域研究コンソーシアム理事。『経済大国アフリカ:資源、食糧問題から開発政策まで』(2013年)、『アフリカ問題:開発と援助の世界史』(2009年)、『南アフリカの衝撃』(2009年)、『企業が変えるアフリカ:南アフリカ企業と中国企業のアフリカ展開』(2006年)など、アフリカに関する著作多数。早稲田大学政治経済学部卒、同大学院経済学研究科修了、同志社大学から博士号取得(グローバル社会研究)。
当日の資料:
Africa 2015: Prospects, Challenges and Opportunities (PDF)